事例名称 |
洗浄用トルエンの抜き取り作業中誤ったカップリングの取外しによるトルエンの漏洩 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1998年07月13日 |
事例発生地 |
和歌山県 |
事例発生場所 |
化学工場 |
事例概要 |
濃縮釜からの液抜き出し作業中に間違えたカップリングを開放して漏洩した。報告書にはカップリングの離脱位置を間違えた作業員の単純ミスが原因とされている。しかし、ストップバルブを挟んで二つのカップリングがそれほど離れておらず,誤操作しやすい位置にあったのではないか。また,ストップバルブの上流にカップリングを取り付ける構造は望ましくなく、何か特別な事情が有ったのだろうか。人間はミスを犯すものであるという原点に立ち返った安全対策が取られたのであろうか。 |
事象 |
合成香料製造装置の点検整備のための洗浄中に漏洩事故が起こった。濃縮釜から洗浄用トルエンの抜き取り作業の際,ストップバルブの上流カップリングを下流のカップリングと間違えて外した。そのため、トルエンが約200L漏洩した。 |
プロセス |
製造 |
単位工程 |
設備保全 |
物質 |
トルエン(toluene)、図2 |
事故の種類 |
漏洩 |
経過 |
定期点検整備のため合成香料製造装置の製造ラインを順次トルエンで洗浄していた。濃縮釜の洗浄を終え,濃縮釜からステンレス製ドラム缶にトルエン洗浄液を抜き取る作業をしていた。ドラム缶が満タンになったので、ドラム缶を交換しようとした。抜き取り用のホースを外すときに誤ってストップバルブの上部のカップリングを外したため洗浄用のトルエン約200Lが漏洩した。 |
原因 |
ストップバルブの下部のカップリングを外してホースを結合すべきところ,ストップバルブの上部のカップリングを外した。 |
対処 |
吸着マットによる回収,固形物のドラム缶への回収 |
対策 |
1.安全教育の徹底をする。 2.安全活動の見直しをすべきである。本来は、軽微な作業とはいえ危険物を扱う非定常作業であるので、危険予知活動(KY)やツールボックスミーティング等で事前に現場的に危険の洗い出しをすべき作業である。 |
知識化 |
人間はミスを犯す。 |
背景 |
簡単にヒューマンエラーと片付けられる事故ではある。しかし、誤操作しやすいカップリングの位置と誤操作防止の対策の検討不足が基本要因であると考えられる。 |
よもやま話 |
危険予知活動(KYK)とかツールボックスミーティング(TBM)とかの安全活動は、このような非定常作業に有効な手段と思われるが、発災社では行われていたのであろうか? |
データベース登録の 動機 |
作業員の単純ミスで片づけられたのかもしれない例 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、安全対策不良、不注意、注意・用心不足、作業者不注意、計画・設計、計画不良、設計不良、定常操作、誤操作、誤った操作、二次災害、損壊、漏洩、身体的被害、負傷
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情報源 |
消防庁、危険物に係る事故事例‐平成10年(1999)、p.1054-1056
全国危険物安全協会、危険物施設の事故事例‐Case 100‐(1999)、p.100
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
1 |
物的被害 |
トルエン洗浄液約200リットル床上に漏えい. |
被害金額 |
1万円未満(消防庁による) |
マルチメディアファイル |
図2.化学式
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分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
和田 有司 (独立行政法人産業技術総合研究所 地圏資源環境研究部門 開発安全工学研究グループ)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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