事例名称 |
煙火工場の大爆発 |
代表図 |
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事例発生日付 |
2003年04月11日 |
事例発生地 |
鹿児島県 鹿児島市 |
事例発生場所 |
煙火工場 |
事例概要 |
花火工場で爆発事故が起こった。違法に大量に貯蔵してあった火薬類が事故を拡大し、周辺住民にも多大の被害を与えた。事故発生原因は、作業当事者が亡くなり、最初の爆発現場をほぼ完全に損壊していたので、特定はされていない。 |
事象 |
市街地から5km離れた山間部ではあるが、流通基地や高校に隣接した花火工場で爆発事故が起こった。大量に貯留してあったと思われる火薬類により、被害が拡大した。被害は工場外にも及び負傷者4名の内2名は付近住民であり、物的被害も工場外で多数あった。 |
プロセス |
製造 |
単位工程 |
その他 |
物質 |
過塩素酸カリウム(potassium_perchlorate)、図2 |
硫黄(sulfur)、図3 |
火薬(explosives) |
塩素酸塩(chlorate) |
硝酸塩(nitrate) |
事故の種類 |
爆発 |
経過 |
2003年4月11日13:27 爆発発生 13:30 公設消防の第一出動命令 13:40 公設消防現場到着 13:56 鎮火 |
原因 |
1.事故発生原因は不明である。火薬類の事故では多いが、発災現場にいた人間が全員死亡し、その現場も全壊し、事故当時の関係書類も焼失しているので、原因特定は困難であった。状況から、最初の爆発は配合所であった可能性が高く、そこでは仕掛け花火の填薬、着火薬の調合、雷薬の配合などが行われ、何らかの衝撃、摩擦または静電気で発火した可能性がある。 2.拡大した原因は、火薬類を保管してはならない原料庫での法令に違反した大量保管や、配合所、火薬類一時置き場にも許可時の停滞量を大幅に超えた火薬類の存置によると推定された。 |
対処 |
自衛消防などの企業の活動は判明していない。公設消防の消防車15台、救急車3台が出動した。 |
対策 |
経済産業省原子力安全・保安院が事故3ケ月後に発表した再発防止委員会の取り纏めによると、1.法令遵守体制の整備、2.県の管理監督の徹底、3.行政機関の管理監督の徹底が挙げられている。また国に対する提言として、技術基準の再点検、都道府県の管理監督者対象の研修制度の導入、立入検査・保安検査マニュアルの整備、専門家による煙火製造業者に対する巡回指導が挙げられている。 |
知識化 |
火薬類の爆発事故の大きさは、貯蔵量と防爆対策で決まる。事故のトリガーは減らせても完全になくすことは困難だろうから、事故の影響を小さくすることが重要だろう。 |
背景 |
1.最初の爆発は不明である。事故原因で推定されている様な原因だと、作業への慣れ、誤作業などが考えられる。設備の維持管理や教育・訓練などが関連している可能性はある。 2.拡大原因は、原因推定通りとすると、明らかに法令違反と言えよう。 |
よもやま話 |
☆ 火薬類関係の多くの事故の特徴は、原因が特定できなくなることと法令以上の貯蔵量のため被害が大きくなることである。事故を起こした事業所だけが貯蔵量が多いのだろうか? |
データベース登録の 動機 |
法令違反での大量貯蔵で事故が拡大した例 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、組織文化不良、法規違反を会社ぐるみで、価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、誤判断、狭い視野、慣れ、使用、輸送・貯蔵、大量すぎる保管量、不良現象、化学現象、発熱・発火、二次災害、損壊、爆発・火災、身体的被害、死亡、10名死亡、身体的被害、負傷、4名負傷、組織の損失、経済的損失、組織の損失、社会的損失、信用失墜、社会の被害、社会機能不全
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情報源 |
鹿児島市消防局、近代消防、No.508、p.62-67(2003)
経済産業省原子力安全・保安院、プレス発表 煙火事故の再発防止について,鹿児島県煙火事故再発防止委員会とりまとめ(概要)、原子力安全・保安院ホームページ、(2003)
鹿児島市消防局、月刊消防、No.288、p.20-26(2003)
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死者数 |
10 |
負傷者数 |
4 |
物的被害 |
製造所内:建物31棟(全壊8棟、半壊1棟、一部損壊22棟)、車両24台。 製造所外:コンクリート片飛散や爆風で住家60棟・非住家39棟(全焼1棟、一部損壊98棟)、車両18台。半径約850mの範囲まで被害及ぶ。 (5月31日現在・鹿児島市消防局による) |
社会への影響 |
自動車専用道路にコンクリート片が散乱、一時速度規制 |
マルチメディアファイル |
図2.化学式
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図3.化学式
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図4.現場(朝日新聞)
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分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
小林 光夫 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻、オフィスK)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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