事例名称 |
動き始めた車両に飛び乗り被災した例 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1997年10月13日 |
事例発生地 |
愛知県豊橋市 |
事例発生場所 |
豊橋市立中学校造成工事現場 |
事例概要 |
地元のガソリンスタンドから現場で稼働している重機械へ給油に来て、作業に入った時、給油車両が動き始め給油者(運転員)が、とっさに止めようとして、その車両に飛び乗り(ドアにしがみついた状態)車が暴走して横転、下敷きとなり被災した。給油のために車両を止めた位置の地盤は、3.2%の下り勾配であり、サイドブレーキの引きが甘かったか、車止めの処置をしていなかった。 |
事象 |
1997年10月13日昼過ぎ、油圧ショベル(0.7m3)に給油すべく、タンクローリー車で給油作業の段取り中、突然タンクローリー車が動き出した。 |
経過 |
・油圧ショベル(0.7m3)に給油すべく、タンクローリ車で給油作業の段取り中、突然タンクローリ車が動き出した。サイドブレーキを引いていなかったか、引きが甘かった。一番の原因は車止め作業を怠っていた。 ・まだ給油はしていない。エンジンをかけたまま油圧ショベルのオペレータの所に被災者が鍵を借りにタンクローリから離れた時、突然動き始めた(勾配3.2%)。 ・被災者は運転席側とは反対の位置にいたので、動き出した車の前方を横断して(当初大したスピードは出ていない)運転席側のドアにしがみつき、静止しようと努めた。 ・その後、略図の通り勾配が順次きつくなる。3.2%-3.9%-7.5%の下り勾配で約40m暴走した。土盛り部分でバウンドした時、運転員は振り落とされ、不幸にもその上に車両が横転して被さって来た。被災者は13年間タンクローリの業務に従事していた。 |
原因 |
・タンクローリーのサイドブレーキ及び車止めの措置を講じていなかった。 ・元請・下請社員は、給油方法の安全指示はしたが、車止め装置の指示を出していなかった。 ・材料納入業者ということで、管理が納入業者まかせであった。(3次下請) ・給油場所に若干勾配(3.2%)があるため、状況により逸走する可能性があった。 ・ほとんど毎日、同じ場所で給油を行っているので、慣れによる油断があった。 |
対処 |
・消防署の見解ー油による事故ではない ・警察署の見解ー交通事故扱い |
対策 |
再発防止対策-1 ・給油場所を指定し、標識で明示する。(平坦地を選ぶ) ・運転席を離れる時の逸走防止処置(ブレーキ、車止め等) ・資材納入業者への安全指示の徹底 再発防止対策-2 ・入場者・カード(免許証サイズとしケースに入れる)を作成して、納入業者に義務づける |
知識化 |
・人は、大切なものを守りたくなる ・車は自分で勝手に動き出す ・人は平坦と少々の傾斜は見分けがつかない |
背景 |
・毎日のくり返し作業であり、つい慣れが生じて注意が散漫になっていた ・オペレーターも、自分の仕事と思わず、燃料屋任せになっていた ・現場責任者や元請、下請社員も、外部からの資材納入業者には注意を怠っていた ・給油の運転員も自動車のサイドブレーキを確りと引かなかった ・なんと言っても、残念であったのは車止め処置を怠ったこと ・タンクローリーで給油する時は、エンジンをかけポンプを作動させないと給油できない。 |
シナリオ |
主シナリオ
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不注意、注意・用心不足、斜面に気付かず、手順の不遵守、手順無視、車止め操作不備、手順の不遵守、手順無視、サイドブレーキ操作不備、機能不全、システム不良、暴走、非定常操作、緊急操作、飛び乗る、機能不全、システム不良、横転、身体的被害、死亡
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死者数 |
1 |
物的被害 |
タンクローリーの破損 |
社会への影響 |
ニュースとして新聞・テレビで報道された |
分野 |
建設
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データ作成者 |
川本 正之 (株式会社 日本機械土工協会)
國島 正彦 (東京大学)
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