事例名称 |
タワー式クローラクレーン(150トン)が荷下ろし中に倒壊した |
代表図 |
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事例発生日付 |
1998年09月02日 |
事例発生地 |
徳島県徳島市 |
事例発生場所 |
火力発電所建設現場 |
事例概要 |
鉄筋(300~500キログラム)の吊荷作業中、タワーブームを機械後方に転倒させた。又、転倒機械の後方で作業をしていた別のタワー式クローラクレーン(150トン)も巻き込み転倒させた。 |
経過 |
・当日は、朝から約300~500キログラムくらいの荷を50回ほど繰り返し荷揚げ作業をしていた。 ・タワーブーム角度約87°、ジブ角度45°で地切りし、ジブ巻上げレバー、タワー巻上げレバーの順で動かし、右旋回レバーを動かした。タワーブームを89.4°に起こしたとき、大きな異音がして左バックスストッップが外れ、タワーブームが大きく揺れた。そこで、タワーおよびジブ巻上げレバーを中立に戻したが、タワーが倒壊した。 ・倒壊時に後方のクレーンを避けるため、左旋回を行った。 ・通常、タワーブーム角度は87°から90°の範囲で作業をしている。タワーについては、90°で自動停止装置が作動するためタワー巻上げレバーは通常は入れっ放しにしており、安全装置によってタワー巻上げが停止してからレバーを戻すという操作をしていた。 ・エンジンの回転数はアイドリング(700rpm)ではなく、1000rpmくらいであった。 |
原因 |
タワー起伏用の上下スプレダシープ中心間距離を計測したところ、1625ミリであり、この寸法は明らかに過巻きが生じていたことを示している。 |
対策 |
・過巻防止装置解除要因の排除:スイッチをキー式とし運転中はキーを取外して管理し、解除行為、ポカミスの発生を防ぐ。 ・極限停止装置の信頼性の向上:バックストッポに極限リミットスイッチを設ける。 ・安全教育の追加:安全装置の過信防止(安全装置に当てて停止させる運転操作の禁止) |
知識化 |
・切るな!切らすな!安全装置 |
後日談 |
実機検証結果 ・事故後にタワー過巻防止に係る安全装置の作動確認を行ったが、全て正常に作動し異常は見当たらない。 ・過巻防止用角度センサー、リミットスイッチ、電磁弁に異常なく停止システムはすべて機能していた。 a 角度センサー、リミットスイッチの取付けについては、現場において倒壊クレーンから別の実機に組み替え異常のないことを確認し、事故直前まで正常に機能していたと考えられる。 b リミットスイッチ用ストライカにスイッチ側のローラの圧痕が残っており、ストライカの空振りは無かったといえる。 |
当事者ヒアリング |
(オペレータの証言)当日、事故直前まで安全装置は機能していた。 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、安全教育・訓練不足、定常操作、誤操作、安全措置への過信、定常操作、誤操作、安全措置の極限まで操作、破損、大規模破損、倒壊、身体的被害、負傷
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物的被害 |
ブーム |
被害金額 |
1億円 |
分野 |
建設
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データ作成者 |
荻島 直志 (社団法人 全国クレーン建設業協会)
國島 正彦 (東京大学)
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