事例名称 |
建築工事におけるつり上げ作業で発生した移動式クレーンの転倒 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1997年07月10日 |
事例発生地 |
新潟県 |
事例発生場所 |
ゴミ焼却場建設工事現場 |
事例概要 |
この災害はゴミ焼却場建設工事現場における移動式クレーンの転倒である。補巻きを下ろしながらジブを起こす、いわゆる「横引き・引き込み」の方法でつり荷の移動を行なおうとしたところ、機体後方(つり荷側)に位置したアウトリガーフロートが沈下するとともに敷き板の上を水平方向にスライドして脱落し、さらに大きく沈下して機体は転倒した。移動式クレーンにはジブの損傷等の被害が発生した。 |
事象 |
アウトリガーが地盤に沈下したことによる移動式クレーンの転倒 |
経過 |
機体より遠方に置かれた荷をつり上げるために,ジブを伸張してフックを巻きおろした。しかし、作業半径が大きいためにつり上げが困難と判断したオペレーターはつり荷をクレーン側に近づけようとして「横引き・引き込み」の方法で移動を試みた。しかし、鉛直荷重を支えていたアウトリガーに、横引きに伴う水平荷重が作用したためにアウトリガーが沈下するとともにスライドして敷き板から脱落し、地盤に沈下した。その結果、クレーンが転倒した。 |
原因 |
地盤が粘性土で軟弱であったこと。アウトリガーに作用する荷重を分散させるために用いられた敷き板の大きさと剛性が不足していた。横引き・引き込みによる不適当な作業が行われたため。 |
対処 |
アウトリガーの沈下防止対策として覆工板を敷くなどの適切な対策を行うこと。 |
対策 |
作業計画を策定すること。作業方法の策定と周知徹底をすること。 |
知識化 |
地盤条件を含めた移動式クレーンの作業条件を事前に調査して検討すること |
背景 |
移動式クレーンを設置場所の強度や設置方法を事前に検討していなかった。鉛直荷重を支えていたアウトリガーに横引きによる水平荷重が作用したために、見かけの地盤支持力が低下した。そのため、オペレータが意図しなかった、支持地盤の破壊によってアウトリガーが沈下して移動式クレーンが転倒したものである。 |
シナリオ |
主シナリオ
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調査・検討の不足、環境調査不足、軟弱地盤、計画・設計、計画不良、場所選定不備、使用、運転・使用、沈下、破損、破壊・損傷、ジブ損傷
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情報源 |
http://www.jaish.gr.jp (安全衛生情報センター)
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
0 |
物的被害 |
移動式クレーンにはジブの損傷等の被害が発生した。 |
被害金額 |
不明 |
全経済損失 |
不明 |
社会への影響 |
移動式クレーンによる転倒災害は多く発生しており、この災害防止は労働安全上重要な問題となっている。 |
マルチメディアファイル |
図2.移動式クレーン転倒事故
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分野 |
建設
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データ作成者 |
玉手 聡 (独立行政法人産業安全研究所)
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國島 正彦 (東京大学)
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