失敗事例

事例名称 中小河川改修事業の実施に当たり、連節ブロック張工費等の積算を誤ったため、工事費が割高となっているもの
代表図
事例発生日付 1995年
事例発生地 山口県
事例発生場所 県庁
事例概要  吸出防止材設置工費及び、連節ブロック張工費の積算において、吸出防止材設置工費については遮水・止水シート張り歩掛かりを、連節ブロック張工費については遮水・止水シート使用連節ブロック張り施工歩掛かりをそれぞれ適用したため、費用が割高になり工事費の積算が過大となった。そのため、これに係る国庫補助金相当額2,630,500円が不当と認めらた。
事象  吸出防止材設置工は、導水路の法面に土砂の流出を防止するための吸出防止材を設置するもので、また、連節ブロック張工は、吸出防止材で被覆された法面を保護するための連節ブロックを設置するものであった。
 この連節ブロック張工費及び吸出防止材設置工費については、同県制定の積算基準等により、1m2当たりの施工単価に施工面積を乗じて積算することとなっていた。本件で用いるべき正しい歩掛かりは、連節ブロック張工については連節ブロック張工歩掛かり、また、吸出防止材設置工については吸出防止材設置歩掛かりであった。しかし、実際には連節ブロック張工費については遮水・止水シート使用連節ブロック張り施工歩掛かりを、また、吸出防止材設置工費については遮水・止水シート張り歩掛かりをそれぞれ適用するなどして費用が割高となる施工単価を算出した。そのため、積算過大となった。
経過 ・中小河川改修事業の一環として、排水機場への導水路の法面を保護するため、連節ブロック張工7,716m2及び吸出防止材設置工5,692m2を国庫補助金相当額2,630,500円で実施した。
・吸出防止材設置工費及び、連節ブロック張工費を過大積算した。
・積算過少となっていた連節ブロックの連結鉄筋の費用等1,268,920円を考慮しても、本件工事費は割高となっており、国庫補助金相当額2,630,500円が不当と認められた。
原因 ・恣意的でなければ、積算者の単純なうっかりミス
・恣意的であるとすれば組織ぐるみの可能性がある。
・もしくは工事に関する知識がなかったことも危惧される
対策 ・ミスについて罰則を設ける
・積算を一人に任せず、何重かでチェックを行う。
知識化 ・積算するにあたって、本来とは違う値を基に算定するというミスは他にも多く見られる。
・人間のすることである以上ありえることではるが、ゼロにならないまでも上記対策により減らすことはできる。
・工事に対する知識が不十分であれば、積算はできない。
シナリオ
主シナリオ 不注意、注意・用心不足、作業者不注意、調査・検討の不足、事前検討不足、使用材料確認不足、定常操作、手順不遵守、積算基準不遵守、起こり得る被害、潜在危険、税金無駄遣い
情報源 平成7年度決算検査報告(会計検査院)
被害金額 不当と認める国庫補助金交付額 2,630,500円
分野 建設
データ作成者 米澤 明男 (東京大学)
國島 正彦 (東京大学)