失敗事例

事例名称 公営住宅建設事業費補助金の交付額の算定が適切でなかったため、補助金が過大に交付されているもの
代表図
事例発生日付 1993年
事例発生地 大分県
事例発生場所 県庁
事例概要  特殊屋外附帯工事の特例加算額については、合併処理浄化槽を設置しない場合の1戸当たりの限度額を適用して算定すべきであったのに、合併処理浄化槽を設置する場合の限度額を適用して算定していた。そのため、補助金の交付申請にあたり、国庫補助金相当額4,614,000円が過大に交付されていて不当と認められた。
事象  補助金の額は、毎年度、建設大臣が定める公営住宅の1戸当たりの工事費に、建設戸数を乗じ、さらに、排水処理施設等の特殊屋外附帯工事等を行う場合には、建設大臣が定める限度額の範囲内で認定した額(以下「特例加算額」という。)を加算するなどして国庫補助基本額を算定し、これに補助率を乗じて算定することとされていた。そして、特例加算額については、排水処理施設として合併処理浄化槽を設置する場合には、設置しない場合より高い限度額が定められていた。また、一定規模以上の団地建設において、合併処理浄化槽設置工事を建物本体工事と分離して実施した場合には、建物本体工事とは別にこれに係る補助金の交付を受けられることとなっていた。
 城南団地114戸に係る特殊屋外附帯工事の特例加算額について、合併処理浄化槽を設置する場合の1戸当たりの限度額1,899,000円を適用して算定していた。しかし、同団地の合併処理浄化槽設置工事は、建物本体工事と分離して昭和63年度に実施しており、これに係る補助金の交付を既に受けていた。このため、同団地の特殊屋外附帯工事の特例加算額については、合併処理浄化槽を設置しない場合の1戸当たりの限度額1,199,000円を適用して算定すべきであった。したがって、国庫補助金4,614,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
経過 ・大分県が、公営住宅法に基づき、県営城南団地ほか1団地の公営住宅計150戸の建設を、公営住宅建設事業費補助金1,086,237,000円の交付を受けて実施した。
・同団地の合併処理浄化槽設置工事は、建物本体工事と分離して昭和63年度に実施しており、これに係る補助金の交付を既に受けていたにもかかわらず、特殊屋外附帯工事の特例加算額について、合併処理浄化槽を設置する場合の1戸当たりの限度額を適用して算定したため、庫補助金4,614,000円が過大に交付されていた。
原因  故意の過剰請求でないとすれば、特例加算額の規定を合併処理槽を設置する場合でなく、合併処理槽のある建物の場合というふうに読み違えたと考えられる。93年において、合併処理槽の設置も行うと誤解したもこと考えられるが、前者に比べその可能性は低いだろう。
対策  誤解を招かないような積算額に関するマニュアルを作る。また、積算者は、誤判断のないようよく読む。
知識化  過大交付される場合、実際に行っていない事業や使っていない材料などに対する費用を加味して交付金を要求している例が多い。
シナリオ
主シナリオ 誤判断、誤認知、勘違い、定常動作、誤動作、計算ミス、起こり得る被害、潜在危険、税金無駄遣い
情報源 平成7年度決算検査報告(会計検査院)
被害金額 不当と認められる国庫補助金交付額 4,614,000円
分野 建設
データ作成者 米澤 明男 (東京大学)
國島 正彦 (東京大学)