失敗事例

事例名称 緊急地方道路整備事業の実施に当たり、橋台の設計が適切でなかったため、堤防に欠陥をもたらすおそれがあるもの
代表図
事例発生日付 1991年
事例発生地 山梨県甲府市
事例発生場所 市役所
事例概要  一級河川荒川に架設されている飯豊橋に歩道橋(橋長94.7m、幅員3.2m)を併設する際、橋台底面の設置位置は河川の構造が掘込河道である場合の方法により決定されていた。しかし、実際の河川の構造は掘込河道とはなっておらず、橋台底面が適切でない位置となってしまった。その結果、河川管理上の基準を満たしておらず、堤防に欠陥をもたらすおそれのある不適切な構造となっており、これに係る国庫補助金相当額4,064,000円は不当であると認められた。
事象  甲府市では、橋台の設計に当たり、堤防の背後に橋梁取付道路の盛土があることから、誤って河川の構造を掘込河道とみなして、設計を行った。その結果、本来は橋台の底面は堤防の地盤に定着させるものであるにもかかわらず、底面は堤防の地盤より2.4m上方に位置することになった。したがって、河川管理上要求される最低限の基準を満たしていないことにより、堤防に大きな欠陥をもたらすおそれのある不適切な構造とされた。
経過 ・歩道橋を併設するため、橋台2基及び橋脚2基の築造を行う補助事業が工事費58,203,240円(国庫補助金29,101,620円)で実施された。
・甲府市では、設計に当たり、堤防の背後に橋梁取付道路の盛土があることから、誤って河川の構造を掘込河道とみなした。
・河川の構造が掘込河道である場合の方法により、橋台底面の設置位置を決定した。
・しかし、実際は掘込河道ではなかったため、橋台底面が不適切な位置にあり、河川管理上要求される最低限の基準を満たすことが出来なかった。
・これに係る国庫補助金相当額4,064,000円は不当であると認められた。
原因 既設されている橋の工事記録に対する調査不足が挙げられる。
対策 既設されている橋の工事記録に対する調査を徹底にすべきである。
知識化 既設されている橋に新たな橋を併設する際は、以前の工事記録を詳細に調査すること。
シナリオ
主シナリオ 調査・検討の不足、事前検討不足、審査・見直し不足、無知、知識不足、思い込み、計画・設計、計画不良、設計不良、機能不全、諸元未達、強度不足、起こり得る被害、潜在危険、崩壊
情報源 平成4年度決算検査報告(会計検査院)
被害金額 不当と認められる国庫補助金交付額 4,064,000円
マルチメディアファイル 図2.本件河川の場合の橋台設置位置
図3.掘込河道の場合の橋台設置位置
備考  堤防に設置する橋台については、その設計にあたって最低限満たすべきこととされている河川管理施設など構造令(昭和51年政令第199号)の基準によれば、底面は堤防の地盤に定着させるものとすると定められている。
分野 建設
データ作成者 宮木 裕也 (東京大学)
國島 正彦 (東京大学)