事例名称 |
道路災害復旧事業の実施に当たり、ブロック積護岸等の施工が設計と著しく相違していたため工事の目的を達していないもの |
代表図 |
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事例発生日付 |
1997年 |
事例発生地 |
北海道勇払郡穂別町 |
事例発生場所 |
護岸工事現場 |
事例概要 |
ブロック積護岸及び盛土工において、設計図書等の通りに作業を行わなかったため、降雨時等には崩壊のおそれのあるものとなった。従って、本件復旧工事は、施工が設計と著しく相違したものであり工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金5,964,000円が不当と認められた。 |
事象 |
護岸及びその上部の盛土は、設計図書等において次のように施工することとしていた。 (ア) 護岸は、計画天端高を起点側で56.33m、終点側で56.49mとし、その直高は4.0m、護岸の河床面から護岸基礎の天端までの地中に埋め込まれる部分の深さは1.0mとする。 (イ) 盛土は、北海道建設部監修の「土木工事共通仕様書」に基づき、適切な含水比の状態で盛土材一層当たりの仕上がり厚を30cm程度として、タンパ、振動ローラ等の小型締固め機械により締め固める。 検査したところ、護岸及び盛土の施工は次のとおり適切でなかった。 (ア) 護岸の施工に当たって仮の基準高を設定する際の測量において、高さの数値を読み違えるなどしたため、護岸の天端高は起点側で57.28m、終点側で57.42mとなっていて、設計に比べて起点側で95センチ、終点側で93センチそれぞれ高くなっていた。一方、護岸の直高は、設計に比べて起点側で23センチ、終点側で24センチそれぞれ高く施工されていた。このため、護岸の河床面から護岸基礎の天端までの地中に埋め込まれる部分の深さは、起点側で28センチ、終点側で31センチとなっていて、最低限必要とされる深さ1.0mに比べて著しく不足していた。 (イ) 盛土は、バックホウにより法面を整形したに過ぎず、共通仕様書に定めるタンパ、振動ローラ等の小型締固め機械による締固めを全く行っていなかった。 |
経過 |
・北海道勇払郡穂別町が、平成9年8月の豪雨により被災した町道栄豊田線を復旧する道路災害復旧事業の一環として、同町字栄地区において9年度にブロック積及びその両端の打止壁で構成される護岸延長13mの築造並びに護岸上部の盛土工101m3等を工事費7,455,000円(国庫補助金5,964,000円)で実施した。 ・施工が設計と著しく相違していたため、降雨時等には崩壊のおそれがあるものとなっていた。 ・竣工後、護岸のブロック積は河床等が洗掘されて、11年5月の降雨等によって沈下し、また、盛土も崩壊した。 ・本件復旧工事(工事費7,455,000円)は、施工が設計と著しく相違したものとなっていて工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金5,964,000円が不当と認められた。 |
原因 |
護岸の施工については、測量のミスに拠るところもあると考えられるが、上記に示したように施工が設計と著しく相違しているのは、意図的な要素も考えられる。盛土の施工についても、監督の甘さの隙をついた意図的なものであると考えられる。 |
対策 |
・複数回の測量 ・複数人による測量 |
知識化 |
初期段階でのミスは後の作業すべてに関わってくる。特に慎重に行うべし! |
シナリオ |
主シナリオ
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誤判断、誤認知、見誤り、計画・設計、計画不良、設計不良、価値観不良、組織文化不良、手抜き、非定常行為、変更、作業内容変更、破損、破壊・損傷、破損、大規模破損、崩壊
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情報源 |
平成10年度決算検査報告(会計検査院)
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被害金額 |
不当と認められる国庫補助金交付額 5,964,000円 |
マルチメディアファイル |
図2.護岸概念図
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分野 |
建設
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データ作成者 |
中川 雅史 (東京大学)
國島 正彦 (東京大学)
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