事例名称 |
公営住宅整備事業費補助金の交付額の算定が適切でなかったため、補助金が過大に交付されているもの |
代表図 |
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事例発生日付 |
1997年 |
事例発生地 |
北海道稚内市 |
事例発生場所 |
市役所 |
事例概要 |
公営住宅の建設事業において、国庫補助金の交付申請に当たり、1戸当たり平均床面積の算出が適切ではなかったため、国庫補助金2,236,000円が過大に交付され、不当と認められた |
事象 |
補助金の額は、住宅の構造、階数及び1戸当たり標準床面積等の各区分により、建設大臣が毎年度定める公営住宅の1戸当たりの主体工事費及び附帯工事費に建設戸数を乗ずるなどして国庫補助基本額を算定し、これに補助率を乗じて算定することとされている。そして、対象となる住戸の1戸当たり平均床面積が標準床面積未満の場合には、上記の1戸当たり工事費を所定の算式により減額することとなっている。また、北海道において各戸に燃料庫を設ける場合には、燃料庫の床面積などにより算定した額を1戸当たり工事費に加算することができることとなっているが、燃料庫を含めた1戸当たり平均床面積が標準床面積(燃料庫付)以下の場合には、この加算は行わないこととなっている。 検査したところ、同市では、国庫補助金の交付申請に当たり、1戸当たり平均床面積は、12戸全戸の合計床面積を求めてその戸数12で除して算出すべきところ、住居タイプが4タイプ(1LDKが1タイプで4戸、3LDKが3タイプで4戸、2戸及び2戸)であることから、各タイプごとの1戸当たり床面積に燃料庫の床面積を加算して合計床面積(4戸分)を求め、これを4で除して1戸当たり平均床面積を89.6m2と算出していた。そして、この平均床面積が標準床面積(燃料庫付)の87.1m2を超えているとして、1戸当たり工事費15,300,000円に燃料庫加算額218,000円を加えて、本件事業の1戸当たり工事費を15,518,000円とし、これを基に国庫補助金を134,195,000円と算定していた。 また、上記の各タイプごとの1戸当たり床面積には、既に燃料庫の床面積が含まれているのに、誤って、これを更に加算していた。 そこで、1戸当たり平均床面積を正しく算出すると、前記89.6m2は85.8m2となり、標準床面積(燃料庫付)を下回ることとなる。このため、本件事業は、燃料庫加算額を計上できる場合には該当しないこととなり、また、所定の算式により1戸当たり工事費を減額することが必要となるので、これらに基づき、本件事業の1戸当たり工事費を算定すると15,153,000円となった。 |
経過 |
・北海道稚内市は、平成9、10両年度に市営緑ケ丘団地の公営住宅12戸(中層耐火構造3階建1棟)の建設を事業費287,819,086円(国庫補助基本額268,390,000円)、国庫補助金134,195,000円で実施した。 ・補助金の交付額の算定が適切ではなかった。 ・適正な補助金額を算定すると131,959,000円となり、国庫補助金2,236,000円が過大に交付されていて、不当と認められた。 |
原因 |
12戸全戸について合計床面積を求めればよいものを容易にするために4戸分しか求めなかったという手抜きによるものである。4戸分の床面積計算方法、燃料庫の2重計算の2つの初歩的ミスを見ると、意図的なミスとも考えられる。 |
対策 |
・確実な計算 |
知識化 |
計算結果だけでなく、計算方法の確認も重要!また、下手な手法も用いるな! |
シナリオ |
主シナリオ
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無知、知識不足、勉学不足、不注意、注意・用心不足、作業者不注意、定常動作、誤動作、計算ミス、起こり得る被害、潜在危険、税金無駄遣い
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情報源 |
平成10年度決算検査報告(会計検査院)
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被害金額 |
不当と認める国庫補助金交付額 2,236,000円 |
分野 |
建設
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データ作成者 |
中川 雅史 (東京大学)
國島 正彦 (東京大学)
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