事例名称 |
道路改良事業の実施に当たり、土砂の掘削運搬費の積算を誤ったため、工事費が割高となっているもの |
代表図 |
|
事例発生日付 |
1997年 |
事例発生地 |
熊本県 |
事例発生場所 |
県庁 |
事例概要 |
土工の工事費の積算において、県制定の積算基準通りに作業を行わなかったため、掘削運搬費が過大に算出されており、積算過小となっていた仮説道路工における盛土運搬費等を考慮しても、本件工事費は割高となっており、これにかかる国庫補助金相当額4,037,550円が不当と認められた。 |
事象 |
土工の工事費のうち、運搬距離が約100mである土量3,348m3の掘削運搬費について、同県制定の積算基準等に基づき、バックホウで土砂を掘削してダンプトラックに積み込み、運搬することとして、1m3当たりの施工単価を算出し、これに土量を乗じて積算していた。 検査したところ、同県では、コンピュータにより掘削運搬費を積算するに当たり、10m3当たりの掘削積込費と10m3当たりの運搬費の合計額を10で除して1m3当たりの施工単価を算出することとしていたのに、誤って、運搬費について100m3当たりの金額を入力し、1m3当たりの施工単価を過大に算出していた。 |
経過 |
・熊本県は、一般国道387号道路改良事業の一環として阿蘇郡小国町西里地区において道路を新設するため、平成9、10両年度に土工、排水工等を工事費116,550,000円(国庫補助金64,102,500円)で実施した。 ・土工は、切土箇所において地山を路床面まで掘削するとともに、掘削した土砂を盛土箇所まで運搬して路床を築造するなどのものとしていた。 ・土砂の掘削運搬費の積算を誤って、11,004,876円としていた。 ・10m3当たりの運搬費により正しい1m3当たりの施工単価を算出し、これに基づき掘削運搬費を積算すると1,814,616円となった。 ・工事費を修正計算すると、積算過小となっていた仮設道路工における盛土運搬費等3,459,941円を考慮しても、諸経費等を含めた工事費総額は109,208,400円となり、本件工事費はこれに比べて約7,341,000円割高となっており、これに係る国庫補助金相当額4,037,550円が不当と認められた。 |
原因 |
コンピュータによる工事費の積算は、容易で短時間でできるため、専門知識のない人物でも、少人数で行うことが可能である。また、計算過程などが無視されるため、途中で誤りに気づくことも難しい。 |
対策 |
・充分な人材の確保 ・入念な審査 |
知識化 |
コンピュータはミスしないが、人間のミスにも気づいてくれない。 |
シナリオ |
主シナリオ
|
不注意、注意・用心不足、作業者不注意、定常操作、誤操作、入力ミス、起こり得る被害、潜在危険、税金無駄遣い
|
|
情報源 |
平成10年度決算検査報告(会計検査院)
|
被害金額 |
不当と認められる国庫補助金交付額 4,037,550円 |
分野 |
建設
|
データ作成者 |
中川 雅史 (東京大学)
國島 正彦 (東京大学)
|
|