失敗事例

事例名称 クレーンの定格荷重を超えて作業し横転
代表図
事例発生日付 1983年
事例発生地 愛知県
事例発生場所 河川工事現場
事例概要 設置する適当な場所が無いまま、アウトリガーを張り出さずに、定格荷重20tの移動式クレーンで鋼矢板を吊り上げたため、旋回中に移動式クレーンが横転し、近くで作業をしていた作業員がブームの下敷きになり死亡した。
事象 アウトリガーを張り出さないまま作業していたクレーンが横転し、近くで作業をしていた作業員がブームの下敷きになり死亡した。
経過 ・搬入された鋼矢板を二次下請の労働者が運転する移動式クレーン(定格荷重20t)により堤防下に降ろす作業が行われた。クレーンは、元請の現場監督に指示された場所に設置した。この場所は、道幅約4mで、アウトリガーを張り出すことなく、二次下請の事業主の合図で作業に掛かった。
・災害が発生したのは、クレーンの設置してある場所から17m離れた場所へ鋼矢板を降ろすよう指示されたときである。クレーンのブームを徐々に45度に傾け、事業主が玉掛した鋼矢板1枚(192kg)を吊り上げ旋回を始めた所、目的地に降ろす直前にクレーンが道路下に横転した。そのため27mのブームが地面に叩きつけられ近くで作業していた作業員1名がブームの下敷きとなって死亡した。
原因 ・定格荷重を超える作業条件で吊り上げた。
・アウトリガーを張り出さずに作業した。
・クレーン作業範囲内に作業員がいた。
・運転手が危ないと思ったが事業主に言えないまま作業した。
対策 ・指揮命令系統を再検討し、誰でも、いつでも意見が言えるようにする。
・作業計画を再検討し、現場に適合した作業方法を考える。
・クレーン作業範囲内立ち入り禁止等、安全教育・訓練を実施する。
知識化 ・クレーンの旋回範囲に立ち入らない。
・危ないと思った作業は、安全が確認できるまで作業しない。
・作業は、事前に安全についても充分検討し計画を立てる。
・クレーンは誤操作で転倒する事がある。
背景 ・安全衛生教育の不足。
・指揮命令系統の最下位の者が、意見を言いづらい職場の雰囲気。
・元請監督員の管理不足。
後日談 クレーン運転手は、危ないと思ったが事業主の指示だから何とかなると思った。
シナリオ
主シナリオ 調査・検討の不足、事前検討不足、クレーン設置場所選定ミス、無知、知識不足、経験不足、誤判断、誤った理解、作業計画ミス、組織運営不良、運営の硬直化、クレーン運転手の意見が作業に反映されない、定常操作、手順不遵守、アウトリガー無し、使用、運転・使用、過負荷操作、定常操作、手順不遵守、クレーン頭上旋回、不良行為、規則違反、安全規則違反、破損、大規模破損、倒壊、身体的被害、死亡
情報源 災害事例、建災防あいち、VOL.S58.3.1
死者数 1
分野 建設
データ作成者 伊貝 星治 (株式会社 イチテック)
馬場 完治 (株式会社 イチテック)