事例名称 |
過荷重により移動式クレーンが転倒した |
代表図 |
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事例発生日付 |
1997年02月21日 |
事例発生地 |
大阪府和泉市 |
事例発生場所 |
地滑り防止工事現場 |
事例概要 |
この災害は砂防工事現場において、クローラークレーンを使用して、泥水タンク(推定重量約1t)を吊ろうとしたところ過荷重となって転倒したものである。 |
事象 |
移動式クレーンの過荷重による転倒。 |
経過 |
・災害発生当日午後2時30分頃、現場作業者Aは、現場にあったクロ-ラークレーンで吊り上げて泥水タンク内の泥を排出しようとして無断でクレーンを運転し、つり荷に対して右斜め後方にクレーンを停車させた。 ・上部旋回体を進行方向に対して左約45度の角度に旋回をさせた。 ・ジブの起伏角を約28度にするとともにジブ長を最大の長さである8mに伸張させてフックを降下させた。 ・つり荷である水槽の上面の一辺にワイヤーとシャックルで玉掛けをして吊り上げを試みた。 ・つり荷を吊り上げるに伴ってクレーンのつり荷と反対に位置するキャタピラーが若干浮き上がった状態となった。 ・クレーンのエンジンが停止したため、Aはエンジンを再始動させた。 ・エンジンの始動とともにクレーンが傾き始めたため、Aは運転席からあわててとび降りたが、転倒したクレーンの下敷きとなって死亡した。 |
原因 |
・クローラークレーンで定格荷重を超える重さの荷を吊ろうとした。 ・クローラークレーンの設置場所の地盤が軟弱で不安定であった。 ・吊り上げ時のクレーンの地盤反力が集中して地盤に作用したため、沈下による機体傾斜が発生しやすい状況であった。 ・クローラークレーンの転倒を防止するための安全装置(モーメントリミッター)の配線が切断されており、機能しない状態になっていた。 |
対策 |
・移動式クレーンを用いて作業を行うときは、あらかじめ、作業現場の広さ、地形、地質、使用するクレーンの能力等に基づいて作業計画を作成し、作業員に周知することが必要である。 ・クレーン等による作業は複数の事業者の作業員が混在した作業を行う場合が多く、作業にかかわる作業員の配置や指揮系統を明確にして、それぞれの作業員の責任を確立することが重要である。 |
知識化 |
安全装置が機能しない機械で作業を行うことは非常に危険である。 |
背景 |
・被災者は、現場の片づけなどの作業に従事しており、移動式クレーンの運転に必要な資格および玉掛け作業に必要な資格は有していなかった。 ・この作業は、事前に策定された計画によるものではなく、思いつきによるもので、 現場作業員が独自の安易な判断でクレーンを運転し無理な作業を行ったものである。 |
後日談 |
・事業者は無資格者に移動式クレーンを運転させたとして労働安全衛生法違反で送検された。 ・災害発生後は事業主自身が資格を取ってクレーンを運転している。 |
データベース登録の 動機 |
繰り返し型災害の典型である。 |
シナリオ |
主シナリオ
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不注意、理解不足、リスク認識不足、企画不良、組織構成不良、必要機能欠如、価値観不良、安全意識不良、安全対策不良、安全教育,訓練不足、不良行為、規則違反、安全規則違反、非定常操作、操作変更、操作員変更、使用、保守・修理、修復、破損、破壊・損傷、破壊、身体的被害、死亡
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情報源 |
http://www.jaish.gr.jp/
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死者数 |
1 |
負傷者数 |
0 |
物的被害 |
不明 |
被害金額 |
不明 |
全経済損失 |
不明 |
分野 |
建設
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データ作成者 |
北山 宏幸 (社団法人 日本クレーン協会)
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