事例名称 |
ドラグショベルの路肩からの転落 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1997年06月25日 |
事例発生地 |
山口県 |
事例発生場所 |
道路のよう壁工事現場 |
事例概要 |
道路よう壁の改修工事において、掘削に使用したドラグ・ショベルが路肩から転落して、運転手が下敷きとなったものである。 |
事象 |
ドラグ・ショベルが路肩から転落した災害。 |
経過 |
・災害発生当日の朝、会社で作業員の配置と作業内容の指示が社長からあり、社長ともう一人の作業員は引き続き葬儀の手伝いのため現場には行けないので、現場は前日の2人と新たに配置する2人の土木作業員の4名で前日までと同様に石や土砂の運搬とコンクリートブロックの基礎の床掘り作業を行うことになった。 ・この指示が終わって、4名は会社を出発し現場には午前8時30分頃に到着した。 ・到着後、被災者と作業員は、C工区の作業に取りかかり、被災者はドラグ・ショベルを使用して石垣を除去した後の掘削を行い、作業員はそのドラグ・ショベルの位置より下方の同じ町道に不整地運搬車を持ってきて停車させ、被災者がドラグ・ショベルで掘削した石や土砂を積み込むのを待って土砂置場へ運搬する作業を行っていた。 ・2回目の土砂の不整地運搬車への積み込みも80%程度となり、被災者は掘削箇所の土砂をすくい上げるためドラグ・ショベルを少し後退させたところ、突然、町道の路肩から機体が下方の民家の方に傾きだし、そのまま横転する形で約2.5m下の民家の裏庭に転落した。 |
原因 |
・ドラグ・ショベルを据え付けて掘削、積み込み作業を行っていた町道の幅は、最大のところで2.5mで、災害が発生した時にドラグ・ショベルが位置していたところでは2.16mであり、ドラグ・ショベルの走行帯(クローラ)の幅1.52mに比較してもほとんど余裕がないほど狭かった。 ・この道路の勾配は18度で、ドラグ・ショベルの安定度は悪かったと推定される。 また、災害発生後に、ドラグ・ショベルが傾き、転落した路肩の部分を調査したところ、最大幅40cmで全長3 mにわたってコンクリート舗装のひび割れが見つかった。 ・コンクリート舗装の厚みは約5cmしかなく、 しかも北側下手の民家側のコンクリート舗装の下の土砂が崩れて空洞になっていたことから、ドラグ・ショベルが後進したときに機体重量に耐えかねてコンクリートの路肩部分が割れてずれ下がり、ドラグ・ショベルが転落したものと思われる。 |
対策 |
・ドラグ・ショベル等の車両系建設機械による作業については、作業場所の地形、地質等の調査を行い、その結果に基づいて使用する機械の種類、能力、運行経路、作業の方法を決定し、それらを盛り込んだ作業計画に基づき作業を行うこと。 ・安全管理や現場の安全点検、部下の指導監督が行える工事責任者等を定めておくこと。 |
知識化 |
車両系建設機械による作業を行うときは必ず事前に作業計画を作成し、その計画にに基づいて作業を行うこと。 |
背景 |
・ドラグ・ショベルを用いて作業を行う際には、作業箇所の地形や地質の状態、据え付ける道路等の幅、降雨等による影響、路肩の状況等をあらかじめ調査し、使用するドラグ・ショベルの選定、土砂崩壊の防止措置、誘導者の配置等を盛り込んだ作業計画を作成する必要があるのに作成していなかった。 ・この会社では、関係作業者に対し、掘削作業、機械の運転等についての安全教育が実施されていなかった。 |
後日談 |
事業者は労働安全衛生法違反で送検された。 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、安全対策不良、誤判断、狭い視野、発見遅れ、使用、運転・使用、機械の運転・操縦、定常動作、危険動作、危険個所立ち入り、不良行為、規則違反、安全規則違反、破損、破壊・損傷、破壊,破断、身体的被害、死亡
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情報源 |
http://www.jaish.gr.jp/
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死者数 |
1 |
負傷者数 |
0 |
物的被害 |
不明 |
被害金額 |
不明 |
全経済損失 |
不明 |
分野 |
建設
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データ作成者 |
北山 宏幸 (社団法人 日本クレーン協会)
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