事例名称 |
クレーンのジブが送電線に接触して感電した |
代表図 |
|
事例発生日付 |
1997年08月22日 |
事例発生地 |
東京都八王子市 |
事例発生場所 |
個人住宅建築工事現場 |
事例概要 |
この災害は、個人住宅建設工事において、トラッククレーンを使用して鉄筋の束の運搬作業中にクレーンのジブが上方の送電線に接触して感電したものである。 |
事象 |
移動式クレーンのジブが送電線に接触したことによる感電 |
経過 |
・当日、午前11時すぎ、建物等の配筋工事を行っていた下請会社の社長からの要請により、鉄筋の運搬を指示されたAはクレーンを送電線(特別高圧66,000V)の真下から約4m離れた位置に据え付けた。 ・下請会社の作業者Cは台付けワイヤロープにより、鉄筋の束を玉掛けし、運転士Aに巻上げ合図をした後、荷卸し場所へ移動した。 ・Aはクレーンのジブを19.1mとし、右旋回して荷卸し場所に搬送し、約1.5mまで巻き下した。 ・Cは荷が振れないように両手で押え、準備した角材の上に荷を卸すため、位置ぎめの合図をAに送った。 ・Aが合図に従って、ジブの旋回、起伏を行っていると、突然「バチッ」と音がして、Cが荷の上にうつ伏せに倒れた。 ・ジブが送電線に接近しすぎ、送電線からの放電により感電したものである。 |
原因 |
・特別高圧(66,000V)の送電線の下部でトラッククレーンを使用する作業にもかかわらず、感電の危険を防止するため、送電線に絶縁用防護具を装着するなどの措置を行わなかったこと。 ・トラッククレーンのジブの先端が送電線に僅か0.9mまで接近したため、送電線からの放電により被災者が感電したこと。 ・被災者が荷(鉄筋の束)の振れを止めるため、両手で台付けワイヤロープを押えたとき、それを介して被災者に電流が流れたこと。 |
対策 |
・特別高圧送電線(66,000V)のような架空電線に接近する場所でトラッククレーン等を使用して、鉄筋等の移動作業を行うときは、充電電路に絶縁用防護具の装着を行うなど感電防止に必要な措置を講じる。 ・監視人を配置して、その者の指揮のもとに、送電線とジブとの間に安全離隔距離(66,000V以下の場合、電力会社の目標値は、4.0m以上)を確保した上で荷のつり卸し作業を監視させることが重要である。 |
知識化 |
ジブが送電線に接触しない場合であっても、一定の距離以内に接近すれば感電すること。 |
背景 |
・トラッククレーンによる送電線の下部での作業は、当日に決まったものであり、その際に、事前に送電線の所有者との作業の日程、作業方法、送電線の防護措置、監視人による監視方法、送電線の所有者の立会い等の作業計画の打ち合せを行っていなかったこと。 ・関係作業者に対し電圧の送電線に近接する作業における安全離隔距離の確保等感電防止対策を周知していなかった。 |
後日談 |
事業者は労働安全衛生法違反で送検された。 |
データベース登録の 動機 |
繰り返し型災害の典型である。 |
シナリオ |
主シナリオ
|
不注意、理解不足、リスク認識不足、価値観不良、安全意識不良、安全対策不良、企画不良、戦略・企画不良、作業内容・工程・環境不良、非定常行為、変更、作業内容変更、不良行為、規則違反、安全規則違反、身体的被害、死亡
|
|
情報源 |
http://www.jaish.gr.jp/
|
死者数 |
1 |
負傷者数 |
0 |
物的被害 |
不明 |
被害金額 |
不明 |
全経済損失 |
不明 |
社会への影響 |
全国紙の地方版に大きく報道された。 |
分野 |
建設
|
データ作成者 |
北山 宏幸 (社団法人 日本クレーン協会)
|