事例名称 |
バックホウの用途外使用に伴う敷鉄板の落下事故現場 |
代表図 |
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事例発生日付 |
2002年11月 |
事例発生地 |
静岡県 |
事例発生場所 |
橋梁下部工事 |
事例概要 |
オペレーターがバックホウで敷鉄板を集積作業していたとき、被災者が作業半径内に入り、敷鉄板に接触して転倒した。その後、オペレーターが敷鉄板を吊り上げようとしたが、被災者の足に敷鉄板が倒れ、右足の頚骨と小指、左足の膝下頚骨とひ骨を骨折した。 |
事象 |
オペレーターは、バックホウを使って、敷鉄板のバックホウ側をチェーンワイヤーで浮かして引きずろうとした時、被災者が敷鉄板のそばにあったカラーコーンを除けようとしてバックホウの作業半径内に立ち入った。オペレーターは、被災者が作業半径内に入ったことに気付かずに敷鉄板を引きずったため、敷鉄板が被災者のふくらはぎに接触し、被災者はその場に転倒した。オペレーターは、被災者と敷鉄板の接触に気付き、すぐに敷鉄板を吊り上げようとしたが、バックホウのバランスが崩れ、被災者の足に敷鉄板が倒れた。 |
経過 |
1.オペレーターは、バックホウで敷鉄板を引きずりながら移動させようとしていた。 2.被災者は、移動させようとした敷鉄板のそばにあったカラーコーンを除けようと、バックホウの作業半径内に立ち入った。 3.オペレーターは、被災者が作業半径内に立ち入ったことに気付かず、敷鉄板を移動させた。 4.直後、被災者のふくらはぎに敷鉄板が接触し、被災者はその場に転倒した。 5.オペレーターは、被災者の転倒に気付き、敷鉄板を吊り上げようとしたが、その際にバックホウのバランスが崩れ、被災者の足に敷鉄板が倒れた。 |
原因 |
1.オペレーターは、バックホウで用途外(吊り)作業を行った。 2.オペレーターは、バックホウ操作時に、周囲の安全確認を怠った。 3.被災者が、重機の作業半径内へ不用意に立ち入った。 |
対処 |
1.事故を起こした請負者は、当該工事の現場全体について、以下の対策を行った。 ・現場の巡視を強化し、各作業場の点検を頻繁に行い、危険と思われた場合、その場で改善を求める。 ・朝礼時、作業責任者に当日の作業内容と安全注意事項を発表させ、安全に対する意識の向上を図る。 2.事故を起こした請負者は、当該工事の同種作業について、以下の対策を行った。 ・バックホウの用途外使用の禁止を徹底する。 ・重機作業時の作業半径内への立ち入り禁止を徹底する。 ・重機作業前に、前後左右の安全確認を確実に行う。 |
対策 |
発注者は、道路関係の請負者を集め、緊急安全協議会を実施した。その中で、事故報告を行うとともに、「バックホウの用途外使用禁止の徹底」「安全教育の場を通じて安全意識の高揚を図る」などの安全総点検を呼びかけた。 |
知識化 |
1.バックホウの用途外使用は事故につながる。 2.重機の作業半径内にやむを得ず立ち入るときは、オペレーターとの意思疎通が必要である。 3.重機操作時オペレータは安全確認を怠ってはならない。 |
背景 |
1.事故当時、誘導員は打合せ中であり、現場を離れていた。 2.オペレーターは、現場経験27年、車両系建設機械運転者資格取得後の実務年数は25年であった。 3.被災者は、現場経験30年、玉掛作業者資格取得後の実務年数は1年であった。 4.クレーンによる吊り作業の場合、作業個所単位で「クレーン作業打合せ表」を用いて、クレーン位置、使用吊具、吊り荷の最大荷重、作業半径などについて事前協議していた。 |
データベース登録の 動機 |
1.バックホウの用途外使用が事故の原因につながった事例である。 2.危険な場所に不用意に入ったことが事故の原因につながった事例である。 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、不注意、注意・用心不足、作業者不注意、不良行為、規則違反、安全規則違反、定常動作、危険動作、危険場所立ち入り、使用、運転・使用、機器・物質の使用、身体的被害、負傷、重傷
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
1 |
分野 |
建設
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データ作成者 |
溝口 宏樹 (国土交通省国土技術政策総合研究所)
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