事例名称 |
溝の堀削作業中、コンクリートブロック塀が倒壊 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1999年01月26日 |
事例発生地 |
宮崎県宮崎市 |
事例発生場所 |
鉄骨平家建建築物 新築工事現場 |
事例概要 |
鉄骨平家建建築物の基礎用の溝を掘削するため、ドラックショベル(機体重量4.05t)を用いて、幅約2.0m,深さ1.1~1.4mの溝を掘削していたとき、高さ2.2mのコンクリートブロック塀が突然、東側と北側の2面にわたって倒壊し、4人の作業員が下敷きになった。 |
事象 |
1999年1月26日、16:40頃、鉄骨平家建建築物新築工事現場において、高さ2.2mのコンクリートブロック塀が突然、東側が約17.0m、北側が約11.0mにわたって倒壊し、整地作業を行っていた作業員4人が下敷きとなり、2人が死亡、2人が重軽傷を負った。 |
経過 |
・当日の午前中、敷地の境界線の内側を北西側から北東側に向かって、ドラクショベルを幅2.0m、深さ1.1~1.4mの基礎用の溝を掘削していた。 ・午後、東側を終了した後、北東側の端から南側に向かってコンクリートブロック塀に沿って約17.0m掘削し、コンクリートブロック塀の終点附近まで掘削を進めた。 ・そのとき、高さ2.2mのコンクリートブロック塀が突然、東南側の端から東北側と西北側の2つの面(東側が約17.0m、北側が約11.0m)にわたって倒壊した。 ・北側にいた4人の作業員らが下敷きとなった。 |
原因 |
・東南側の端のコンクリートブロック塀の基礎部分の地盤に土留め壁が設けられていなかったため、その部分がまず倒壊し、その重量の連鎖で塀が次々と倒壊していったこと。 ・コンクリートブロック塀のような工作物に接近する箇所で、基礎用の溝掘削作業を行っているが、補強策を何も講じていなかったこと。 ・掘削箇所の事前調査を行ったり、作業手順、作業方法などの作業計画書を作成せず、職長らの直感に任せた作業方法であったこと。 |
対策 |
・塀等の工作物の構築年月、構築時の塀等の構造、配筋の有無、基礎部分の根入れの状況、掘削深さ等に関する施工図面などの事前調査又は予備的な掘削などにより、それらの状況を確認すること。 ・コンクリートブロック塀の補強方法(土止め壁、控え等の設置)あるいは塀の一部撤去などの倒壊防止対策を検討し、最も安全な施工方法を採用すること。 ・掘削の作業計画を定め、それに従った作業手順、立入禁止区域の設定、その他の危険防止措置を行うこと。 ・作業計画を関係作業者に周知し、元請等の統括管理の下での安全作業を徹底すること。 |
知識化 |
・コンクリートブロック塀等の工作物の補強策を忘れるな! ・掘削作業は職長などの勘に頼ることなく、綿密な作業計画を作成し、安全な作業に徹すること! |
背景 |
・コンクリートブロック塀の自立性をあてにした施工法であり、補強方法を十分に行っていなかったことが、この倒壊災害を起こした根本的な問題点である。 ・その背景には、ドラクショベルのオペレータが行っていた溝掘削作業と職長や作業員が行っていた整地作業とが同時併行に行われており、作業を行っているもの全員がコンクリートブロック塀の倒壊の予兆にまったく気付かず、そのような知識教育が行われていなかったことが問題である。 ・元請の現場責任者や下請の現場責任者が不在であり、両者の管理責任が問われる。 |
後日談 |
・元請企業と一次及び二次の下請企業の管理責任を問う労働基準監督署長からの行政処分が行われた。 |
当事者ヒアリング |
・コンクリートブロック塀の高さが2.2mもあることから塀の直近に深さ1.4mの溝を掘ることの危険性を感じ、土留め壁(コンパネと鋼管杭との組合わせたもの)を北東側から11.0m地点まで施工していたが補強策としては不十分なものであった。 |
データベース登録の 動機 |
・同種及び類似災害の防止対策を徹底的に行うために! |
シナリオ |
主シナリオ
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誤判断、状況に対する誤判断、組織運営不良、管理不良、作業管理不良、価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、安全教育・訓練不足、調査・検討の不足、事前検討不足、作業計画・作業工程の検討不足、不良行為、規則違反、安全規則違反/法規違反、製作(仮設構築物の製作)、ハード制作、土止め壁・補強対策の不良、定常動作、危険動作、危険場所への立入り、破損、大規模破損、コンクリートブロック塀の倒壊、身体的被害、死亡、身体的被害、負傷、重症・軽傷
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情報源 |
・安全衛生情報センター(労働災害事例)
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死者数 |
2 |
負傷者数 |
2 |
物的被害 |
コンクリートブロック塀の倒壊 |
被害金額 |
不明 |
全経済損失 |
不明 |
社会への影響 |
この労働災害は、建設現場での安全管理のずさんな状況や元請及び下請の管理責任の不在を明白に表すものであり、施主への迷惑、企業の社会的な信用の失墜につながるものであり、建設業界のイメージダウンをもたらす。 |
分野 |
建設
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データ作成者 |
狩野 幸司 (建設業労働災害防止協会)
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