事例名称 |
吊り金具のロッドが破断し、PC桁が落下 |
代表図 |
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事例発生日付 |
2000年11月17日 |
事例発生地 |
秋田県大館市 |
事例発生場所 |
橋梁架設現場 |
事例概要 |
PC(プレストレストコンクリート)桁架設中に吊り金具のロッドが破断し、PC桁と架設桁が河川に落下した。 |
事象 |
ポストテンション方式中空桁橋の架設作業において6主桁のうち5主桁の架設を完了し、最終桁をトラッククレーン2台で吊り上げ、横に移動したところで、突然吊り金具のロッドが破断し、PC桁と架設桁が河川に落下した。 |
経過 |
・ポストテンション方式中空桁橋の架設作業で、架設桁上でPC桁(L=40m、W=103t)を組み立てて架設する作業であった。 ・6主桁のうち5主桁の架設を完了し、最終桁の組み立てを完了してトラッククレーン2台で吊り上げて横に移動したところで、橋台側の吊り金具ロッドが破断し、PC桁が既設PC桁上に落下した。 ・続いて反対側の吊り金具ロッドも破断し、PC桁が完全に既設PC桁上に落下した。 ・落下したPC桁は傾きながら架設桁に激突し、架設桁とともに河川に落下した。 ・落下したPC桁は破損し、架設桁も変形等の損傷を受けた。 |
原因 |
・改造のためにロッド付近の溶断・溶接加工を施しており、その際にロッドの一部を溶断したため設計強度が低下した。 ・溶断した部分に溶接を施したが、溶接が不的確であったためにロッドに空洞が残り、設計強度が低下した。 ・改造された部分は塗装されていたため、目視検査では機材管理部門、現場ともに改造が行われたことを発見出来なかった。 ・現場では改造の事実を知らずに使用した。 |
対処 |
・下部工、既設PC桁の調査を行い、健全度を確認した。 ・落下したPC桁は廃棄処分した。新規にPC桁を製作した。 ・事故原因の調査を行い、吊り金具を新規製作して架設を再開した。 |
対策 |
・全社の吊り金具を調査、点検を行うとともに、図面のないもの、来歴の判明しないものは廃棄した。 ・再発防止策として管理基準及び管理・点検体制を作成・実施した。 |
知識化 |
・勝手に改造をするな!改造には根拠(強度計算)が必要! ・管理基準に基づいて管理を徹底する。 |
背景 |
・吊り金具は昭和54年に製造使用し、その後、別の2カ所の現場で使用していた。 ・過去2カ所のいずれかの現場で改造のため、溶断、溶接加工を施してり、その際にロッドの一部を溶断したと推定される。 ・溶断した部分に溶接で補修を行っているが、ロッドはSMC使用されており、材質に適した溶接ではなかったと推定できた。 ・溶接した部分は塗装されていたため、機材管理部門での目視点検では改造されていたことを発見できなかった。 ・履歴管理が不充分で使用履歴が正確でなかった。 |
データベース登録の 動機 |
同種の失敗を繰り返さないため |
シナリオ |
主シナリオ
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組織運営不良、管理不良、管理の緩み、調査・検討の不足、事前検討不足、作業・工程検討不足、無知、知識不足、過去情報不足、計画・設計、流用設計、既製品流用、使用、保守・修理、誤った改造、破損、破壊・損傷、破壊・破断
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物的被害 |
PC桁破損、架設桁損傷 |
分野 |
建設
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データ作成者 |
伊藤 勝人 (株式会社 ピーエス三菱)
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