失敗事例

事例名称 一人作業で、トラクターショベルが斜面から転落
代表図
事例発生場所 道路復旧工事現場
事例概要  トラクターショベルを用い、トラクターショベルの登板能力、安定度等性能の限界の約24度の斜面で予定外の作業を1人で作業し、トラクターショベルが横転した。
 ただちに被災者を救急車で病院に収容したが、頭蓋底骨折により死亡した。
原因は、(i)トラクターショベルの性能の限界に近い約24度の斜面で機械の操作をした。
      (ii)当日の作業予定にないトラクターショベルの運転を行った。
      (iii)現場責任者が的確な作業指示を行わずに現場を離れていた。
事象  作業員の2人のうち1人はドラグショベルの運転をして切株を除去した後の斜面の掘削と整地を行っていた。もう1人の作業員は通学路になっている下方の通路を監視することになっていたが、現場に置いてあったトラクターショベルの運転をして誘導員も無く、斜面上を登っていてトラクターショベルが斜面から転落し被災し死亡した。
経過  午前中は、道路上部の斜面上の切株の根を取り除く作業を現場責任者1名と作業員2名で行っていた。昼に、現場責任者が会社に戻ったため、午後から2人の作業員はそれぞれの判断で作業を開始した。ドラグショベルの運転者は、切株を除去した後の斜面の掘削と整地を引続き行うこととし、もう1人の作業員が通学路になっている下方の道路を監視することになった。
 道路の監視を行っている作業員の姿が見えなくなったため、ドラグショベルの運転者が運転席を降りて、勾配が約24度斜面の下方を見たところ、トラクターショベルが横倒しになっていた。被災者は、救急車で病院に収容されたが頭蓋底骨折による脳挫傷により死亡した。
原因  トラクターショベルを用い、トラクターショベルの登板能力、安定度等性能の限界の約24度の斜面で作業した。
 当日の作業予定になく、現場での作業指示もなく、作業員の判断で、現場においてあったトラクターショベルを運転し、誘導員もなく斜面を登った。
 現場責任者が的確な作業指示もなく現場を離れた。
 トラクターショベルのエンジンキーを座席後部のBOXから取り出して使用しており、誰でもが容易に使用できる状態にあった。
対処 ただちに、救急車で病院に収容した。
対策 1.作業計画の作成
 作業計画には、次の事項が記載されているものでなければならない。
 ・使用する車輌系建設機械の種類及び能力
 ・車輌系建設機械の運行経路
 ・車輌系建設機械の作業の方法
2、適切な車輌系建設機械の選定
3.誘導員の配置
4.車輌系建設機械等のエンジンキーの適切な保管管理
5.現場責任者の的確な作業指示
6.安全教育の実施
7.安全管理体制の見直し
知識化 1.1人作業、予定外作業は、事故のもと。
2.車輌系建設機械は作業計画に従って作業する。
3.機械の性能を超えての作業は無理である。
背景 1.工事地域の住民との折衝が手間取り、道路上の崩壊土砂を先行して除去できなかった。
2.現場責任者の指示がなく結果として、作業員が判断して作業を始めた。
3.1人作業であった。
シナリオ
主シナリオ 不注意、理解不足、リスク認識不足、手順の不遵守、手順無視、1人作業、調査・検討の不足、事前検討不足、思いつき作業、価値観不良、安全意識不良、安全教育・訓練不足、組織運営不良、管理不良、現場責任者の適切な指示なし、組織運営不良、管理不良、誰でも使えるキーの保管場所、使用、運転・使用、トラクターショベルの運転、定常動作、危険動作、斜面を登る、不良行為、規則違反、1人作業、破損、大規模破損、横転、身体的被害、死亡、事故死
死者数 1
物的被害 トラクターショベル
分野 建設
データ作成者 伊貝 星治 (株式会社 イチテック)
馬場 完治 (株式会社 イチテック)