失敗事例

事例名称 後進中のダンプトラックに轢かれる
代表図
事例発生場所 高速自動車道路 舗装切削 工事現場
事例概要 作業員が路肩を歩行中、後進してきたダンプトラックに轢かれた。
原因は、誘導員がダンプトラックの後進中にもかかわらず、背を向けてダンプトラックから目を離して誘導を行っていた。しかも、路肩側にいた被災者の行動を把握していなかった。
事象 高速自動車道において、被災者は工事担当者の指示で切削個所の位置だしの手元(補助作業員)をするために、当日の切削個所より前方300m先へ路肩を移動中であった。
そこへ、切削したアスファルト殼を積み込むため、誘導員よりバックの合図を受けたダンプトラックが後進してきて、被災者が轢かれた。
経過 ・インターチェンジにおいて、工事担当者と誘導員4名、切削班3名がミーティングを行い、工事担当者と誘導員で規制開始、30分で完了。
・工事担当者は、携帯電話で切削班、舗装班に規制内入場を指示。
・切削班は、入場したが、舗装班は入場が遅れた。
・現場監督は、舗装班を待ちきれずに、切削部着工前の写真撮影のため移動した。
・工事担当者から舗装班の班長へ携帯電話で切削部の位置出しの手元を要請し、被災者(56歳)が工事担当者のいる場所へ路肩をとおって移動した。
・一方、切削機が所定の位置についたので、誘導員はアスファルト殼運搬のダンプトラックに移動の合図出した。
・しかし、運転者は気づかなかったため、誘導員はダンプトラックに近づいて再度合図をした。
・運転者は、合図を確認してダンプトラックのバックを開始した。
・誘導員は、ダンプトラックに背を向けたまま切削機の方向へ誘導を行った。
・誘導員は、途中被災者と挨拶を交わした。
・誘導員は、切削機に近づく途中被災者の悲鳴を聞いた。
原因 ・誘導員が、後進するダンプトラックに背を向けたまま誘導をした。
・舗装班の現場到着が遅れたため、被災者達は、ミーティングに参加できなかった。
・工事担当者は、写真撮影のため作業場所を離れた。
・したがって、作業開始時の作業員配置の指示ができなかった。
・ダンプトラックの運転者の後方確認の不足。
・ダンプトラックの待機場所が路肩であった。
対策 誘導の作業手順を作成し、誘導員、運転者等工事関係者に周知させる。
1.ダンプトラックを後進させるときは、運転者は誘導員の誘導がない限りバックしない。
2.誘導員は、 a. 運転者に誘導する旨を伝える。 b. 運転者の見える位置で、ダンプトラックから20~30m離れて、ダンプトラックの方向を向いて停まり旗(誘導灯)を用いてダンプトラックを誘導する。 c. 誘導中は、移動せず周囲を良く見張る。 d. ダンプトラックが来たら、誘導員はダンプトラックを止めて、待機させる。
3.誘導員は、a~dの動作を繰り返しダンプトラックを目的地まで誘導する。
4.ダンプトラックの運転者は、誘導員の誘導に従うとともに、自らもバックミラーで安全確認をして、移動する。
5.重機・車輌の直前・直後の横断禁止
6.誘導員以外は切削機とダンプトラックの間に入らない。
7.横断するときには、誘導員に声を掛けて、誘導員の指示に従って横断する。
8.上記事項を、安全教育する。
9.路肩を作業員が通れるように確保する。
知識化 バックして近づいてくるダンプトラックには目が付いていない。
後進車輌は死角が大きく、後ろにいる自分に気づいていない。
シナリオ
主シナリオ 不注意、注意・用心不足、作業者不注意、手順の不遵守、手順無視、ダンプに背中を向けて誘導、価値観不良、安全意識不良、リスク認識不足、組織運営不良、管理不良、作業管理不良、定常動作、危険動作、ダンプに背中を向けて誘導、定常動作、危険動作、後方未確認運転、非定常動作、状況変化時動作、切削機とダンプの間を歩行、身体的被害、負傷、重傷、組織の損失、社会的損失、信用失墜
負傷者数 1
分野 建設
データ作成者 伊貝 星治 (株式会社 イチテック)
馬場 完治 (株式会社 イチテック)