事例名称 |
予定外の作業により吊り荷が落下 |
代表図 |
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事例発生場所 |
燃料タンク築造工事現場 |
事例概要 |
燃料タンク築造工事現場で、トラッククレーンが旋回中、吊っていたPC(プレストレストコンクリート)棒鋼がバランスを崩し底部に落下した。その時底部で作業をしていた鉄筋工が、落下物を避けようとして逃げる際、組み立て中の鉄筋に足を取られ負傷した。 |
事象 |
落下物を避けようとした作業員が転倒して骨折 |
経過 |
・タンク築造底部において、被災した鉄筋工は組み立て作業をしていた。 この作業は前日の打合せ通り、10人で所定の場所において行なった。 ・この時別作業の職長より、予定外の変更作業を実施したいと現場の職員に申し出があり、その場で了承された。 ・作業内容は、午後よりPC棒鋼を現場に搬入し、鉄筋組み立て作業中の上部をトラッククレーンがPC棒鋼を吊って旋回し、仮置き場に荷降ろしをするものであった。 ・吊り荷の方法は、単管パイプと角材の上にPC棒鋼を並べ、単管パイプを玉掛けワイヤにて吊り上げる方法であった。 ・角材はPC棒鋼の撓み防止の受け台として、端部と中間部分を番線で固定し、その他は結束線を3本くらい束ねて止めた。 ・一回目は何事もなく吊り上げて旋回し荷降ろしができた。しかし、二回目の旋回中、荷崩れを起こし、番線及び結束線は切断され、また単管パイプと玉掛けワイヤは外れ、底部の鉄筋組み立て作業場所に全てのPC棒鋼が落下した。 ・これに気づいた被災者は逃げる際、鉄筋につまずき左肋骨骨折で1ヵ月の負傷をした。 |
原因 |
・PC棒鋼の荷下ろし作業についての詳細な作業計画、手順書を作成していなかった。 ・予定外の変更作業について、作業方針や取り決めが定まっておらず、他業者との連絡・調整が不十分であった。 ・単管パイプと玉掛けワイヤの滑り、番線と結束線の切断が考慮されていなかった。 ・合図者を定めておらず、作業半径内に立入禁止の措置をしなかった。 |
対処 |
・3点吊りが可能な特殊吊り金具を使用することにした。また、滑らないようにシャックルを用い、PC棒鋼と角材は番線で全部結束する事とした。 |
対策 |
・すべての作業に対し、安全作業手順書を作成して周知を図る。作業変更の場合は、統括安全衛生責任者に申し出て、指示を受けてから作業に取り掛かる。 ・合図者の選任、上下同時作業の禁止、作業半径内立入禁止の措置等の遵守。 |
知識化 |
・作業計画の変更は関係作業員に周知徹底する。 ・荷の吊り上げ・吊り下ろし等の全てのクレーン作業について作業計画を立案し、対策を講じる。 ・上下作業の禁止、作業半径内立入禁止の遵守。 |
背景 |
・予定外の変更作業にも拘わらず、荷の吊り下ろしという簡単な作業のため、作業方法が十分検討されず、打ち合わせもせずに作業を実施したため、結果として落下物を避けようとした作業員が転倒して災害が発生した。 ・災害が発生した背景として、被災者が3次下請け作業員であり、下位になるほど連絡が軽視される傾向にあることがあげられる。 |
データベース登録の 動機 |
連絡の不徹底による災害が多いため |
シナリオ |
主シナリオ
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不注意、注意・用心不足、作業者不注意、手順の不遵守、連絡不足、無連絡、調査・検討の不足、事前検討不足、作業計画・手順書を作成せず、価値観不良、安全意識不良、安全教育・訓練不足、組織運営不良、管理不良、作業管理不良、非定常操作、操作変更、操作手順変更、誤対応行為、連絡不備、不連絡、不良行為、規則違反、安全規則違反、破損、破壊・損傷、結束線の切断・吊り荷の落下、身体的被害、人損、つまずき、身体的被害、負傷、重傷
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負傷者数 |
1 |
分野 |
建設
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データ作成者 |
北條 哲男 (ものつくり大学)
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