事例名称 |
送り出し中にジャッキが倒れ、手延べ桁が橋脚上に落下 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1997年09月02日 |
事例発生地 |
北海道千歳市 |
事例発生場所 |
北海道横断自動車道千歳ジャンクションCランプ橋 |
事例概要 |
北海道横断自動車道千歳ジャンクションのCランプ橋架設工事において、送り出し中に橋桁が横滑りして橋脚上にジャッキが倒れ、手延べ桁が橋脚上に落下し、作業員6人の死傷者を出した。 |
事象 |
平成9年9月2日の早朝に、送り出し中の手述べ桁が橋脚上に落下し、この下敷きになった作業員2人と橋脚から転落した作業員1人計3人が死亡し、3人が負傷した。 |
経過 |
・第2橋脚(P2)上で、台車を橋桁の後方に盛り替えるためにジャッキ操作をしており、橋桁は油圧ジャッキで持ち上げ送り出していた。盛り替え時に116tfの荷重をかけて持ち上げようとしたが、びくともせず、送り出し方向左側のジャッキが当たる下フランジに変形が生じた。 ・そこでいったんジャッキダウンしようとしたところ、突然桁が横滑りした。 ・最後部の台車を支点にして送り出し方向左側に第3橋脚(P3)上で90cmずれ、先端に取り付けた手延べ桁が橋脚上に落ちた。 |
原因 |
・桁を大きく横移動させる特定の原因は見当たらないが、比較的大きな水平力を発生させる可能性としては、P2ジャッキ操作で発生した橋桁下フランジの面外変形(へこみ)があった。これは、鉛直補剛材で補強した部分から外れた箇所でジャッキアップしたために変形したと見られ、この変形でジャッキの一部しか桁を受けられなくなった可能性がある。 ・ジャッキを支えていたサンドル(仮受け台)の沈下でジャッキの底面が部分的に浮き上がった可能性がある。 ・この両方が発生したとき、ジャッキ反力の偏心によって比較的大きな水平力が桁にかかることが理論上考えられる。 ・P2ジャッキとP3ジャッキの同時操作や、桁の送り出し方向と台車のレールの線形との違いから生まれる桁の拘束も考えられる。これらいくつかの要因が絡み合って、予想以上の横方向力が発生したと考えられる。 |
対策 |
・ジャッキは転倒防止のため、架台に固定した。 ・サンドル(仮受け台)を強固にし、横ずれに対して桁を固定する装置を設けた。 |
知識化 |
・架設計画の内容を把握せよ。 ・危険因子は全て除去せよ。 |
背景 |
事故の直接的原因ではないが、以下のような安全面での問題が見られた。 ・この現場では、P3には送り出し中の桁の過大な横移動を防止するストッパーを設置していたが、事故当時は送り出し方向左側のストッパーを一時的に撤去していた。 ・安全対策と作業員の墜落防止などについての計画を立てていなかった。 |
データベース登録の 動機 |
同種及び類似の建設災害を発生させないために。 |
シナリオ |
主シナリオ
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調査・検討の不足、事前検討不足、作業・工程検討不足、不注意、注意・用心不足、取扱不適、誤判断、状況に対する誤判断、非定常動作、状況変化時動作、緊急時動作、非定常操作、操作変更、手順変更、破損、破壊・損傷、破壊・破断、身体的被害、死亡
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情報源 |
建設事故 重大災害70例に学ぶ再発防止対策 (日経コンストラクション)
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死者数 |
3 |
負傷者数 |
3 |
物的被害 |
不明 |
被害金額 |
不明 |
全経済損失 |
不明 |
分野 |
建設
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データ作成者 |
田中 信幸 (日本技術開発株式会社)
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