事例名称 |
補強材の本数が大幅に不足しコンクリート打設中に天井部がV字形に崩落 |
代表図 |
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事例発生日付 |
2000年01月25日 |
事例発生地 |
大分県速見郡日出町 |
事例発生場所 |
大分10号南端地区第一工区改良工事 ボックスカルバート建設現場 |
事例概要 |
大分県速見郡の大分10号南端地区第一工区改良工事 ボックスカルバート建設現場において、ボックスカルバートの天井部分を支える支保工が倒壊し、打設中の約250tのコンクリートが下の道路に崩れ落ちた。死傷者はなかった。 |
事象 |
平成12年1月25日12:30頃に、10号南端地区第一工区改良工事現場において、 ボックスカルバートの大きさ、幅15.5m、高さ8.3m、増設長さ6.3mがコンクリートの打設完了する直前に天井部分を支える支保工が倒壊し、打設中の約250tのコンクリートが下の道路に崩れ落ちた。 |
経過 |
・支保工はカルバートの側壁に沿って左右にそれぞれ1列、中央部に1列の合計3列設置していた。各列とも支柱の数は18本で合計54本になる。 ・支保工は3列とも高さ180cmのユニット2段と90cmのユニットを1段重ねた3層構造になっていた。 ・この支保工は4本の支柱と鉛直ブレースおよび水平材からなり、支柱1本当り8tの荷重に耐え、基本ユニットの許容荷重は32tであり、基準通り施工すれば崩れることはない状況であった。 ・ところが、鉛直ブレースの本数が大幅に不足していた。例えば、側壁に沿って設置した支保工は、ブレースを一つおきにしか設けていなかった。したがって、ブレースが入っていないことから基本ユニットの許容荷重は3分の1程度だったと見られる。 ・すべての支柱の上にH形鋼を渡して荷重を分散すべきところを、1列おきにしかなく、特定の支柱に荷重が集中していた。 ・その結果、カルバートの天井部分を支える支保工が倒壊し、打設完了する直前の約250tのコンクリートが崩れ落ちた。 |
原因 |
・鉛直ブレースが大幅に不足していた。ブレースが入っていないことから基本ユニットの耐力は10.3tで許容荷重の3分の1程度であった。 ・圧縮力に対して細長比の影響を考慮していなかった。 ・支保工は3列とも高さ180cmのユニット2段と90cmのユニットを1段重ねた3層構造になっていた。 ・支柱1列おきにH形鋼を渡しており、特定の支柱に荷重が集中していた。 |
対策 |
・支保工は3列とも高さ180cmのユニット2段と90cmのユニットを1段重ねの3層構造になっていたが、高さ90cmの5層構造とし、すべてのユニットにブレースをもうけるべきである。 ・すべての支柱にH形鋼を渡して荷重を分散すべきである。 ・構造計算書の照査の徹底。 |
知識化 |
・計画書の十分な把握 |
後日談 |
・採用した支保工は、「全国で500件の実績があると聞いており、特殊なものではない」 ・鉛直ブレースの本数が大幅に不足していた。 |
データベース登録の 動機 |
同種及び類似の建設災害を発生させないために。 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、調査・検討の不足、事前検討不足、審査・見直し不足、不注意、理解不足、リスク認識不足、計画・設計、計画不良、設計不良、破損、大規模破損、倒壊・崩落
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情報源 |
建設事故 重大災害70例に学ぶ再発防止対策 (日経コンストラクション)
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
0 |
物的被害 |
不明 |
被害金額 |
不明 |
全経済損失 |
不明 |
社会への影響 |
建設災害は、元請会社の管理責任に対する社会的な不信を招くとともに、施主、近隣住民からの建設現場における危険性への不安感と不信感を増大させる。 |
分野 |
建設
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データ作成者 |
田中 信幸 (日本技術開発株式会社)
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