失敗事例

事例名称 積雪により、作業員が隠れた開口部より墜落し死亡した。
代表図
事例発生日付 2001年02月10日
事例発生地 青森県八戸市
事例発生場所 八戸市内の建設現場
事例概要 この事故は、八戸市内の建設現場において、作業員が、除雪作業中、雪で隠れた開口部より墜落した。
事象 降雪対策としてシート養生した屋上開口部(約80cm四方)を、更に補強養生する為に除雪作業しようとしたものであるが、開口部が雪で覆われていた為、場所を見誤り墜落したものである。
経過 ・被災者は、前日の仕舞作業として、開口部に降雪対策としてシート養生を施し、周囲にはA型バリケードを開口部目印として設置し、作業を終了した。
・当日は大雪となり、降り止む気配も無い為、分担して通路等の除雪を行ったうえで、作業は中止することを申し合わせた。
・被災者は、前日施したシート養生では不十分と思い、当該部分の除雪を行った上で、開口部の養生を補強しようとした。
・開口部付近は、A型バリケードを目印として設置してあったものの、正確な位置は判別できず、落とし穴状態となった開口部より墜落し、死亡した。
原因 ・開口部に施したシート養生は、落下物防止の養生対策であり、墜落防止対策としての有効な措置ではなかった。
・通路等の除雪をしたうえで、作業中止を申し合わせた際、墜落危険箇所の周知と立入り禁止の指示が無かった。
・積雪対策が不十分であった。
対策 ・墜落の危険がある開口部養生は、確実に墜落防止措置をしなければならない。
・積雪で目隠し状態となった開口部付近は、立入り禁止を周知徹底しなければならない。
知識化 ・積雪に慣れた雪国の人であっても、雪の怖さを忘れることがある。
・積雪、凍結、天候の変化等は危険要因として安全対策の重要課題である。
・労働者が自らが施した安全措置に不備があり、被災した場合においても、事業者側は責任を問われる立場にあることを、肝に銘じなければならない。
背景 ・現場所在地は、雪の多い地域である為、労働者は除雪作業に慣れていたが、慣れで判断を誤ることもある。
後日談 ・労働基準監督署は、元請会社と下請会社の双方にに対し、労働災害を防止するための必要な措置を怠ったとして書類送検し、労働安全衛生法違反による刑が科せられた。
シナリオ
主シナリオ 環境変化への対応不良、使用環境変化、自然環境変化、価値観不良、安全意識不良、安全対策不良、非定常動作、状況変化時動作、緊急時動作、非定常行為、変更、作業内容変更、身体的被害、人損、落下・転落、身体的被害、死亡、事故死
死者数 1
負傷者数 0
物的被害 軽微
被害金額 未測定
全経済損失 未測定
社会への影響 メディアの報道無し
分野 建設
データ作成者 野中 格 (社団法人 日本土木工業協会)