事例名称 |
鳥取排水溝改良工事コンクリート壁倒壊 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1972年12月20日 |
事例発生地 |
鳥取県東伯郡大栄町由良宿 |
事例概要 |
ほ場整備工事現場で、排水溝改良工事の掘削作業中にコンクリートの側壁が作業員の上に倒壊し、婦人作業員7人が圧死し1人が重傷を負った。 |
事象 |
コンクリート壁の倒壊による圧死 |
経過 |
当日、連日降り続いた雨により水が溜まり、排水路の地盤はやわらかかった。また、コンクリート側壁は1週間前の工事により、15cmほど掘り下げられていたため側壁は非常に不安定な状態であった。加えて、コンクリート側壁を支える安全対策は事故直前まで全くなされておらず、事故直前に丸太の支えを急場で作ろうとしたのみであった。作業員らは排水路底部にグリ石を敷く作業中で、みな下を向いていたため、コンクリート側壁の倒壊に気付くのが遅れた上、掘り出した土を排水路のすぐ脇に盛り上げていたため、溝から這い上がることができず、逃げ遅れた。 |
原因 |
・ 連日の雨により地盤がやわらかくなっていた。 ・ 掘り出した土を排水路のすぐ横に盛り上げたため、土の重みでコンクリート壁が倒壊した。 ・ 作業員らは下を向いて作業をしていた。 ・ 1週間前にコンクリート側壁が15cm掘り下げられたため、非常に不安定な状態であった。 ・ 掘り出した土を排水路のすぐ脇に盛り上げていたため、排水路から逃げ出すことは困難であった。 ・ 事故直前までコンクリート側壁につい立を配置しなかった。 ・ この種の工事はコンクリート側壁を除去してから着工するのだが、経費削減のため、それを行なわなかった。 |
対処 |
現場主任が危険を察知し、丸太のつい立を作ろうとしたが、時すでに遅かった。 |
対策 |
鳥取労働基準安全衛生課では、この種の工事の際の、コンクリート側壁の丸太等の「ささえ」に関する指導を強化した。 |
知識化 |
未熟練作業員が多い現場では、常時の建設現場より一層の物的安全管理や安全教育を施すべきである。 また、今回のような事故は地盤のゆるさ・コンクリート側壁の底部が露出していた点から考えても十分予測可能であったはずである。 今後、物的・人的安全管理対策を充実させること、起こりうる事故に関しては事前に予測すること、工費削減に安全経費の削減を行わないこと、が必要である。 |
背景 |
この年は長芋が過剰生産の年であったため、主婦たちは新年に向けての資金を得るために不慣れな建設現場で働かざるを得なかった。また、当工事を請け負った建設会社は中小企業であったため人員不足により現場作業員を日雇いで現地調達しなければならなかった点、男子労働者が当時不足していた点によって、当建設現場では不慣れな女子作業員を雇わざるを得ない状態となった。 |
よもやま話 |
今回の事故では人力で掘削が行なわれていたが、違法ではないが設計では機械掘削となっていた。 |
シナリオ |
主シナリオ
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不注意、注意・用心不足、連日の雨、価値観不良、安全意識不良、未熟練作業員多い、安全教育を未実施、不良行為、規則違反、安全対策未実施、計画・設計、計画不良、事故時の退路なし、計画・設計、計画不良、経費削減、コンクリート側壁除去せず、破損、破壊・損傷、コンクリート側壁倒壊、身体的被害、死亡、7名死亡、身体的被害、負傷、1名重傷
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情報源 |
毎日新聞、朝日新聞、讀賣新聞、日本海新聞
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マルチメディアファイル |
図2.事故状況図
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分野 |
建設
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データ作成者 |
國島 正彦 (東京大学)
杉原 啓太 (東京大学)
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