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失敗学会春合宿2010 瀬戸内工業体験ツアー (Part 2)





 池内さんの講話を拝聴した後、1日目の宿泊所大潮荘に向かった。 これを“だいちょうそう”と読む。この宿は今治市糸山公園の北端にあり、 今治市四国島側と馬島を結ぶ来島海峡第三大橋を間近に望む絶好のロケーションである。 大浴場がないのが残念だったが、レストランから眺める来島海峡は、 その速い潮流を見せ付けるかのように波模様を見せていた。

 明けて2日目。朝早く出発の予定だったので、前日の宴は程々で済ませていた。 土曜日合流組もこの朝の予定に合わせて、夜行バスでやってきたり、 前日夜中に西条まで何とかたどり着いて宿泊したり。

 この合宿が始まるおよそ1ヶ月前:
「中尾先生、今治造船様を見学する予定ができました」
 それまでにナカシマプロペラ様、松山から柳井までフェリーで渡る計画ができており、 筆者は今回の合宿で、どうしても造船所を訪問したいと考えていた。 それも2年前のように勝手に見学ではなく、 ちゃんと正面から入って関係者に御案内をいただかなくては気がすまない。
 今回の合宿は、2008年の神戸、高砂、広島、 呉訪問の続編とも言うべき内容にいつの間にか発展していた。2008年は、神戸製鋼様で8,000トンプレスに感動し、 大和ミュージアムで戦艦大和の 10分の1模型を見ていた。
「進水式も予定されているそうです」
「お、やったね、それは楽しみだね。ガラガラボッチャンだったらいいね」
 しかし、この時は思ったような進水式ではないとまでは頭が回らなかった。

この写真は会員のみ  2日目早朝、我等が目指したのは、西条市にある今治造船様。ここには世界最大のドック、 50万トン級のものがある。戦艦大和が基準排水量は6万4千トン、ダイヤモンドプリンセスが11万6千トンなので、 如何に巨大なお船を作る準備ができているか、気が遠くなりそうだ。
 マイクロバスが、西条市に入ってややもすると、その姿が見えてきた。 今治造船(通称:今造)西条工場が誇る800トンのゴライアスクレーン (Goliath crane)3基である。 近くで取った写真もあるが、それは見上げるばかりの巨大なクレーン。 右は、昼食休みを取ったショッピングセンターの駐車場からの遠景。 写真左側に3基のゴライアスクレーンが見える。後で調べると1.5km離れた地点からの写真である。

この写真は会員のみ  このゴライアスという名前は、旧約聖書に登場する巨人戦士に由来する。 ただしその中では、エデンの園でイブをたぶらかした蛇を思わせる鱗のような鎧に身を固め、 イスラエル人民を苦しめる悪役。イスラエル王国第2代王デイビッドとの決闘で、 デイビッドがパチンコから放った石に当たって絶命する。

 到着した私達は会議室にまず通され、今造の概要と現状をざっと聞き、 進水式に遅れてはいけないと見学に向かった。工場がとてつもなくでかいので、 バスに乗っての移動となった。 地元の運転手さんも、普段見れないものが見れたと感激してくださった。

 筆者は、進水式と聞くと『どくとるマンボウ航海記』だったかの記述を思い出す。 船体にシャンパンのボトルをぶつけたり、鼓笛隊の賑やかな音楽、 そして紙テープを体中に巻きつけたテープマンなど、 しかし派手なパフォーマンスの準備はなく、『ガラガラボッチャン』でもなかった。 ドックの水門は既に下ろされ、ややもするとタグボートが2隻近づいてきた。 タグボートにロープを結わえ、ドック側を外し、ホーンを鳴らして『今』というのがわかった。 今造の方々は船体に向かって敬礼。 派手さはないものの、感無量で自分達の製品を世の中に送り出していることが訪れた我々にも伝わってくる。
 10分ほど経過した時にレールにひじを着いて自分の頭を固定し、片目をつぶって背景のステレオ画像を消去すると、 静かに、静かに20万トン級の船が進んで行くのがわかる。 関係者は汗対策のタオルを首に巻き、ヘルメットに身を固めた私達の記念撮影に快く応じてくださった。


 今造を後にした我々は、2年連続キッズデザイン賞に輝いたアイフルホームの キッズデザインパークを訪れた。 モデルホームの展示だけではなく、子供の創造力を育むワークショップを開催するなど、 訪れる人が家族の価値を見直す展示が意欲的だった。 単に利潤追求だけでなく、私達が忘れかけている社会に必要な価値観を、 単に昔を懐かしむといった後ろ向きの方法に頼るのではなく、 新しいこれからの環境に求めていくことはすばらしいと思った。

 集合時間を決めて、各自昼食に散らばった。 前日は昼食にうどんを食べていたので、今日は洋食にしようとちょっとおしゃれなカフェに入った。 何処かに出かけるときは、必ずお尻のポケットにねじ込んでいる文庫本を引っ張り出し、 読んでいるといつの間にかずいぶん進んだ。あれ?と気がついて見ると、 それほど混んでも居ないのに注文がなかなか出てこない。 見渡すと、僕より先に入って待っている人セットものがようやく運ばれてきている。集合時間に間に合わないぞ。
 客席係の注意を引こうと見渡していると、みんなバイトなのか、こういうときにはなるべく顔を合わせないようにしているとしか思えない。
「あのお、すみません。サラダができていれば先に持ってきてください」
 ようやく、ウェイターさんを一人捕まえて伝えた。
「はい、もう少々お待ちください」
 特に急ぐ様子でもなく、相変わらずのんびりと客席に水を注いで回っている。
 すると、続けざまに携帯にメールが来た。
 他店に行ったグループから、「まだ注文したものが出てこないので遅れそう」と同じような内容の連絡。
「みんな、間に合いそうにないから良いよ」と返事して、これでゆっくり食べれるわい、と安心した。
 日本全国、均質化が進み、どの街に行っても同じファーストフード。 居酒屋までチェーン展開で駅前は画一化している。 しかし、住む人の気質は変わらないのか、 坊ちゃんが松山に赴任して味わったのと同じいらいら感だなと心の中で笑ってしまった。

 何とか昼食を終えて集合し、一路松山に向かった。2年前に尋ねた 白鷹翁の和釘工房である。

以下に、会員の斉藤貞幸さんの寄稿を紹介しよう。



 2代目興光(おきみつ)、白鷹幸伯氏の鍛冶場で和釘の鍛造体験をさせて頂くことが出来ました。
 氏は、宮大工、西岡棟梁の依頼により薬師寺再建の際に白鳳型和釘の鍛造を行い、 その様子は「千年の釘にいどむ」として小学校5年の教科書に国語の教材としてに取りあげられるなど著名な鍛冶です。

 事情により到着が遅れたため、「もう、こないと思って火を落としちゃったよ」とおっしゃりながらも朴訥と準備を進めて下さる氏に、 遅れてしまう原因の一つを作ってしまった筆者は、恐縮しきりでありました。 工房に入ると長年にわたり黙々と鍛冶に取り組まれる氏の宝の数々が所狭しと並びます。 数人の見学ですら窮屈さを感じる、ただただ歴史を重ねた鍛冶場に驚きます。

 鍛造ハンマーは、エアー、油圧が一般的らしいですが、氏の道具は、機能的なモーターハンマーです。 モーターの動力をクラッチでハンマーに伝える物で、連続し、好みの間隔で打つのに適した物のようです。 スイッチを入れクラッチを踏み込むと踏み込み加減に応じて打撃間隔が調整できます。 ただし、初めて体験する者にとっては加減が非常に難しかったことは言うまでもありません。 ちなみに、車のクラッチとは逆で踏み込むことによってつながる仕組みで、半クラッチの状態で速度を調整します。
「強く踏み込むと危ないよ」との注意に緊張が走ります。
 火を落としてからそれ程時間が経っていなかったのか、氏が火を入れると程なく炉の中は高温に戻り、中に入れられた材料は赤熱しました。 いよいよ、氏の試し打ち。体験者1番目の筆者は緊張しながら説明をしてくださる氏の手元に注目します。 先端が赤熱した鉄棒は、小刻みなハンマーの打撃と、氏の手さばきによりみるみる先端が尖り、さらには、 カット用のジグ(名前は…?)をあてがい1打撃によって切断されました。

 さあ、いよいよ体験開始です、地面を掘り下げた作業スペースは、1人で座ることを想定したスペースで、2人で入るとやや窮屈。 入り方を教えて頂いてもどこに足をついていいのやら…、足の置き場を教えて頂きやっと作業位置に納まります。
 始めは、練習打ち。鉄棒の後部を氏に支えて頂いてハンマーを操作します。言うまでもなく、思うようにハンマーが動きません。 そうしているうちに鉄棒は元の黒い色に戻ってゆきます。そして、次は、自分だけで挑戦します。 鉄床から浮き上がってしまった鉄棒は、妙な音を発します。さらに、はじかれて中心を外れグニャリと変形…これはまずい…と思いながら
「難しいですねぇ…」
思わずつぶやく筆者に氏は、
「始めから巧くゆくはずないよ」
と一言。
 数本の練習を繰り返し、本番の説明を受けます。既に、頭の部分を作った材料が準備されています。
「この部分(頭の部分)は作ってあるから、先を作ってもらうからね…」
「ハイ…」
といいながらも一層の緊張。 やっとこに挟まれ、赤熱した材料が手渡されいよいよ本番スタート。
…あれ、動かない、そうです、緊張してペダルを踏み込む加減が分からなくなっているのです。 ようやく打ち始めると、
「次はこの辺から打って」
などと指示を受けながら打ちます。しかし、虚しく黒く戻ってゆく材料…。
「じゃ次は立って、そっちでやるからね…」
そうです、今度は手で打ち、先端を尖らせるのです。始めは、力加減が分からず、虚しく冷えてしまいます。
「もっと勢いよくだね、もう一回焼こうか」
とのことで再加熱していただき調子に乗って叩くと今度は強すぎ、妙なへこみを作ってしまいました。 しかも、先端は丸いまま…。

 かくして、筆者の鍛造初体験は興奮と共に幕を閉じました。感謝! その道を究めた職人の周りには全く異なった時間が流れているのだとつくづく感心、忘れがたい感動を胸に刻みました。

 白鷹さん、前日お会いした池内さんにはその日の懇親会にご出席いただいた。
 その日の宿泊は道後温泉のにぎたつ会館。初めて来られた方には、道後温泉本館をお勧めしたが、 後で聞くと満員で温泉には入れなかったらしい。

この写真は会員のみ  恒例となった“宿の迷惑を顧みない”食膳を前にした中尾先生の講演会では、 タイタニックの沈没について最近わかった事実を紹介していただいた。 リベットを何本か回収して組織を調べたところ、 錬鉄製の強度不足のものが特に船首の細くなっている部分に多かったのがわかったらしい。 ここにリベットをかしめる機械が入らず、人手に頼ったということだ。
 事故からほぼ100年経った今、新たな事実が科学技術の進歩により明らかになる。

[ 飯野謙次 ]


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