| 事例名称 | 
    電気トラブルに起因する真空度の低下によるニトロベンゼン蒸留塔の爆発 | 
  
  | 代表図 | 
  
     
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    | 事例発生日付 | 
    1951年03月02日 | 
  
  
    | 事例発生地 | 
    和歌山県 | 
  
  
    | 事例発生場所 | 
    化学工場 | 
  
  
    | 事例概要 | 
    ニトロベンゼン製造装置のニトロベンゼン蒸留塔の運転を停止した直後に蒸留塔が爆発し、作業員5名が死傷した。副生したジニトロベンゼンが蒸留残渣中に濃縮され、電源異常による真空度低下に伴う蒸留温度の上昇等によって爆発したものと推定される。 | 
  
  
    | 事象 | 
    ニトロベンゼン製造装置のニトロベンゼン蒸留塔で、蒸留作業を停止した直後に爆発が起こった。 | 
  
  
    | プロセス | 
    製造 | 
  
  
    | 単位工程 | 
    蒸留・蒸発 | 
  
  
    | 単位工程フロー | 
    
      図2.単位工程フロー
     | 
  
  
    | 物質 | 
    ニトロベンゼン(nitrobenzene)、図3 | 
  
  
    | 事故の種類 | 
    爆発 | 
  
  
    | 経過 | 
    1. ニトロ化工程で生成したニトロベンゼンを蒸留塔で40~60mmHg、150~180℃で精留する。 2. 蒸留搭に700kgの粗ニトロベンゼンを仕込み540kgが留出された段階で蒸留作業を停止した。 3. その直後に蒸留塔が爆発し、作業員2名が死亡し、3名が負傷した。 なお、作業中に電源異常があり、停電もしくは電圧降下があった。 | 
  
  
    | 原因 | 
    以下に示すいくつかの悪条件が重なり爆発したものと考えられた。 1.ニトロベンゼン製造時に副生したジニトロベンゼンが蒸留残渣中に存在し、蒸留が進むに連れて濃度が上昇した。 2.停電あるいは電圧降下により真空度が低下して蒸留温度が上昇した。 3.不純物が存在した。 | 
  
  
    | 対策 | 
    1.ジニトロベンゼンの蓄積防止対策 2.電源の安定供給対策。例えば電源の2重化や工場内送電線の2重化など。 3.停電時の熱源の緊急停止 4.最も重大なことは安全知識の向上であろう。 | 
  
  
    | 知識化 | 
    蒸留工程では反応工程で生成する少量の副生成物が濃縮して爆発等の事故が発生することがある。微量の副生成物についてもその危険性についての検討が必要である。 | 
  
  
    | 背景 | 
    プロセスの危険性の検討不足であろう。例えば、蒸留が進みジニトロベンゼン濃度が上がった時に、停電等があった場合を想定していないようだ。 | 
  
  
    | よもやま話 | 
    ☆ 蒸留塔の塔底等の危険な物質の濃縮を避けるため、重質で溶解力のある安定物質を添加する方法がある。この物質をフラックス油等と呼んでいる。 | 
  
  
    データベース登録の 動機 | 
    化学反応によって生じる副生成物が関与する事故事例 | 
  
  
    | シナリオ | 
    
      
        
          |  主シナリオ
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      価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、調査・検討の不足、事前検討不足、非定常状態の検討不足、計画・設計、計画不良、緊急時対策不良、使用、運転・使用、濃縮、不良現象、電気故障、停電、機能不全、ハード不良、真空装置停止、二次災害、損壊、爆発、身体的被害、死亡、2名死亡、身体的被害、負傷、3名負傷、組織の損失、経済的損失、工場全壊
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     | 
  
  
    | 情報源 | 
    
      田村昌三,若倉正英監修、反応危険-事故事例と解析-、施策研究センター(1995)、p.88 
     | 
  
  
    | 死者数 | 
    2 | 
  
  
    | 負傷者数 | 
    3 | 
  
  
    | 物的被害 | 
    工場全壊 | 
  
  
    | 被害金額 | 
    約120万円(損害保険料率算定会) | 
  
  
    | マルチメディアファイル | 
    
      図3.化学式
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    | 備考 | 
    WLP関連教材 ・化学プロセスの安全/製造時での事故と安全 | 
  
  
    | 分野 | 
    
      化学物質・プラント
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    | データ作成者 | 
    
  小川 輝繁 (横浜国立大学大学院 工学研究院 機能の創生部門) 
  田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻) 
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