失敗事例

事例名称 磁気共鳴映像法での不注意でボンベが頭にあたり患者が死亡
代表図
事例発生日付 2001年07月31日
事例発生地 米国ニューヨーク州ニューヨーク市
事例発生場所 某Medical Center
事例概要 磁気共鳴映像法 (MRI) にかけられた 6 才の幼児が死亡した。
事象 脳腫瘍の摘出手術後に検査のため磁気共鳴映像法 (MRI) にかけられた 6 才の幼児の頭部に磁力で引き寄せられたボンベが当たり、脳出血のため死亡した( 図2)。
原因 MRI の作動時に不注意にも部屋の隅に置かれてあった金属製の酸素ボンベが MRI に引き寄せられ、幼児の頭部に当たった。
対策 MIRは電磁気を帯びる可能性のある金属を機器の周囲や内部に置くと、MRI の磁場に引き寄せられるため危険だとされている金属性の酸素ボンベを同じ部屋におくべきではない。かつ考えられる対策として金属物の固定、危険物に対する取扱のマニュアル化などが必要。
知識化 金属物を引き寄せる磁場が出る部分が開いているMRIの構造そのものの見直しが必要であるという事がわかった。
背景 MRI は 10 トンの磁石による電磁波と放射線を使用して人体の立体画像を撮るための機器だが、磁場は地球の約 3 万倍となり、電磁気を帯びる可能性のある金属を機器の周囲や内部に置くと、MRI の磁場に引き寄せられるため危険だとされている。
よもやま話 米国では年間約 1 千万にも上る MRI 検査が行われている。MRI は 1970 年の初頭に発明され、1977 年に人体に初めて使用された。
当事者ヒアリング 放射線技師、A氏 「MRI の技師は通常、周囲の金属には注意するように厳しい訓練を受けているから、そんな事故が起こるはずはないのだけれど」
シナリオ
主シナリオ 調査・検討の不足、事前検討不足、安全対策不足、無知、知識不足、過去情報不足、教育・訓練不足、調査・検討の不足、事前検討不足、審査・見直し不足、不良現象、電気故障、接触
情報源 http://abcnews.go.com/sections/us/DailyNews/mri010731.html
http://www.mrireview.com/docs/mrideath.pdf
死者数 1
負傷者数 0
マルチメディアファイル 図2.MRIの磁力でボンベが幼児に引き寄せられる
分野 機械
データ作成者 ケイコオオクシ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)