事例名称 |
粗フタロシアニンブルー製造装置の熱交換器が腐食減肉のため亀裂を生じて漏洩 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1999年02月14日 |
事例発生地 |
神奈川県 川崎市 |
事例発生場所 |
化学工場 |
事例概要 |
1999年2月14日、顔料製造工場にてフタロシアニン(PC)反応液から溶媒を蒸発分離するため、溶媒蒸発器滅圧プログラムをスタートし、溶媒蒸発器Bを運転させていた。突然、循環溶媒冷却器のチャンネルカバー部より溶媒のハイゾールPが霧状に漏洩し、当該装置から南東方向へ約55m、最大幅約30mにわたり扇状に飛散、一部が路上に飛散した。原因は、腐食により当該部が減肉していたことと、詰まりに気付かず圧力上昇をさせたことによる。 |
事象 |
減圧蒸発装置に設置された熱交換器の詰まりと腐食のため、油が霧状に噴霧した。 |
プロセス |
製造 |
単位工程 |
蒸留・蒸発 |
単位工程フロー |
図2.単位工程フロー
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図3.単位工程フロー
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図4.単位工程フロー
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化学反応式 |
図5.化学反応式1
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物質 |
ハイゾールP |
事故の種類 |
漏洩 |
経過 |
フタロシアニン(PC)反応液から溶媒を蒸発分離するため、溶媒蒸発器滅圧プログラムをスタ-トし、溶媒蒸発器Bを運転させていたところ、循環溶媒冷却器のチャンネルカバー部より溶媒(ハイゾールP)が霧状に漏洩した。 ハイゾールP: 危険物第4類第3石油類に分類される一種の分岐型アルキルベンゼンの商品名 |
原因 |
1.当該熱交換器のチャンネルカバーと溶剤入口側の仕切り板とのすみ肉溶接部が腐食により孔食があり、当該部のシェル側の強度が減少していた。 2.当該熱交換器チューブの一部が閉塞していた。チューブでの抵抗が大きく、チャンネルカバー内の圧力が上昇した。 3.溶媒流量計の故障により閉塞検知の目安になる流量低下の監視ができなかった。 4.流量の低下を見いだせない間に、閉塞状況でチャンネルカバー内の圧力が上がり、腐食により減肉していた部分が開孔し、漏れた。 |
対処 |
1.循環ポンプの停止 2.側溝に洩れた油を液中ポンプで回収 |
対策 |
1.仕様(板厚、材質)の変更、および、流量計の形式変更 2.運転管理の強化 3.冷却器、洗浄槽、配管の総点検 |
知識化 |
1.健全な設備を維持することの重要性が改めて認識させられる。 2.小さな前兆からトラブルの芽を見いだす重要性をここでも考えさせられる。 |
背景 |
1.熱交換器のチャンネルカバーとその仕切り板の溶接部周辺が腐食で減肉していた。設備管理の不備と考える 2.流量計の故障のままで運転し、閉塞を見落とした。運転管理の不備であろう。 3.前2回の作業で溶媒の回収量が大幅に減っていた。このとき慎重に調査・検討を行っていたら漏洩事故は起こらない可能性もあった。運転管理不備の傍証と考えられる。 |
データベース登録の 動機 |
トラブルの前兆を見落とした可能性の例 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、無知、知識不足、思い込み、不良行為、規則違反、安全規則違反、使用、運転・使用、流量計なしで運転、機能不全、システム不良、流量検知出来ず、破損、減肉、腐食、二次災害、損壊、漏洩
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情報源 |
川崎市消防局予防部保安課、川崎市コンビナート安全対策委員会資料(1999)
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物的被害 |
熱交換器チャンネルカバー部亀裂.ハイゾールP約600リットル |
被害金額 |
約300万円(復旧工事費概算)(川崎市コンビナート安全対策委員会資料) |
社会への影響 |
当該装置から南東方向へ約55m、最大幅約30mに渡り扇状に飛散、一部が路上に飛散 |
分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
吉永 淳 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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