事例名称 |
水分の混入によるトリレンジイソシアネートの転用タンクから白煙発生 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1986年08月13日 |
事例発生地 |
神奈川県 川崎市 |
事例発生場所 |
化学工場 |
事例概要 |
1986年8月13日 神奈川県のエピクロルヒドリン(ECH)製造工場において、突然TDIタンクのマンホールから白煙が上がっているのが発見された。タンクが転用品で、転用時の検討不十分のため、ベント配管から空気中の水または、不純物が混入したことが原因である。 |
事象 |
転用して初めて使用するTDI溶解液タンクで、水分混入により白煙が発生した。なお、TDIはECH中の不純物の除去のため、ECH製造工程に添加される。 図2参照 |
プロセス |
貯蔵(液体) |
物質 |
トリレンジイソシアネート(TDI)(tolylene diisocyanate(TDI))、図3 |
事故の種類 |
漏洩 |
経過 |
1. 1986年8月13日神奈川県のECH製造工場において、突然TDIタンクのマンホールから白煙が上がっているのが発見された。 2. その後ECH製造設備蒸留工程、反応系を停止し、冷却放水した。 3. 続いて完全分解後タンクを開放し、冷却後タンク内部の固化物を除去した。 |
原因 |
水あるいは不純物がベント線経由でタンクに混入した |
対処 |
1.蒸留工程の停止 2.冷却放水 3.タンクの開放 4.タンク内部の固化物の除去 |
対策 |
・ベント線ラインの改造 |
知識化 |
ベント配管からの汚染あるいは混合は気がつかないことが多い。空気中の酸素、水分などや他のタンクからの気相部からの混入を防止するためにはタンク一基ごとに窒素シール等の対策をすべきである。 |
背景 |
ベント線の構造が不適切で、水分または不純物を吸い込んだと推定される。同タンクは転用後初めてTDIを受け入れているので、TDIの反応特性を考慮しない転用計画ではなかったと推測される。 |
データベース登録の 動機 |
転用機器の検討不十分の例 |
シナリオ |
主シナリオ
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調査・検討の不足、事前検討不足、物質の特性を把握せず、組織運営不良、運営の硬直化、情報連絡不足、計画・設計、計画不良、設計不良、機能不全、ハード不良、異物混入、不良現象、化学現象、異常反応、白煙発生
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情報源 |
高圧ガス保安協会、石油精製及び石油化学装置事故事例集(1995)、p.163-164
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マルチメディアファイル |
図2.タンク概要図
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図3.化学式
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分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
吉永 淳 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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