事例名称 |
重質軽油水素化脱硫装置の停止作業中、熱交換器と配管の接続部からの重油の漏洩火災 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1995年05月11日 |
事例発生地 |
神奈川県 川崎市 |
事例発生場所 |
製油所 |
事例概要 |
1995年5月、T石油会社で重質軽油水素化脱硫装置の停止作業で降温中、降温速度が速くなり、熱歪みを生じ、熱交換器と配管の接続部から循環しているA重油が漏れ火災となった。作業指示と異なった操作が行われ、それが速すぎる温度降下を引き起こした。 |
事象 |
製油所で重質軽油水素化脱硫装置反応系の停止作業中に降温作業を行っていたところ、熱交換器と配管の接続部より漏洩し、火災となった。 |
プロセス |
製造 |
単位工程 |
設備保全 |
単位工程フロー |
図2.単位工程フロー1
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物質 |
A重油(fuel oil A) |
事故の種類 |
漏洩、火災 |
経過 |
1995年5月11日09:00 運転停止準備作業を開始した。 加熱炉出口温度を徐々に下げ、さらに低温のA重油を系外から導入し循環運転を行っていた。 11日06:30頃 計器室の監視TVで黒煙を確認した。 06:34 緊急停止作業を開始した。119番通知をした。 06:40 公設消防が到着した。 07:58 鎮火した。 |
原因 |
装置を休止するため、循環運転中に温度が急激に大きく低下した。そのため、配管と熱交換器の接続部で隙間が生じた。そこからA重油が漏洩し、隣接の熱交換器に触れて発火、火災となった。 |
対処 |
装置緊急停止、公設、自衛および共同防災で消火活動 |
対策 |
定期点検時の作業マニュアルの見直し、作業管理の徹底 |
知識化 |
高温で運転する設備では、温度を上げ下げする作業が難しい。配管設計は常温の状態で製作し、温度が上がりきった状態でも強度がでるように行っている。温度を上げ下げする段階では、作業を急ぐと加熱状態のアンバランスが起こり、伸びが各所で異なり故障の原因になる。昇温、降温作業は決して急いではいけない。 |
背景 |
作業指示が守られなかった。そのため、装置の温度降下速度が速くなり、部分的に歪が発生した。温度降下作業手順に低温のA重油の受入がある。作業指示ではそれまで行っていた系内循環を一時停止して、A重油を受け入れる。しかし、実際には、循環運転しながら受け入れたため、温度降下速度が速くなり、バランス良く降温できず歪みが発生した。作業指示違反だが、何故違反が起こったかが真の問題であろう。 |
データベース登録の 動機 |
温度低下の速度が速すぎたために、配管に歪みを生じた例 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、リスク認識不足、組織運営不良、管理不良、管理の緩み、計画・設計、計画不良、停止時のスケジュール管理不良、非定常操作、操作変更、指示と違う操作、破損、変形、配管、熱交の縮み、二次災害、損壊、火災
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情報源 |
高圧ガス保安協会、高圧ガス保安総覧、PAGE152‐153(1996)
川崎市消防局予防部保安課、川崎市コンビナート安全対策委員会資料(1995)
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物的被害 |
熱交換器8基焼損 |
分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
古積 博 (独立行政法人消防研究所)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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