事例名称 |
乾燥機のグランドパッキンの締付け過ぎの過熱によるアゾビスイソブチロニトリルの爆発 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1967年07月07日 |
事例発生地 |
香川県 坂出市 |
事例発生場所 |
化学工場 |
事例概要 |
AIBN(粉体、12%含水品)の真空乾燥工程で爆発が起こった。攪拌機シャフトシールのグランドパッキンの締付けが強すぎて発熱し、その熱で爆発した。ノウハウの確実な伝達、および日常的な危険予知活動により防止できた可能性がある。 |
事象 |
発泡剤の製造工場で爆発があった。アゾイソブチロニトリル(AIBN)(粉体、12%含水品)を乾燥中、真空乾燥缶が爆発した。 |
プロセス |
製造 |
単位工程 |
乾燥 |
単位工程フロー |
図2.単位工程フロー
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物質 |
2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(2,2'-azobisisobutyronitrile)、図3 |
事故の種類 |
爆発 |
経過 |
横型温水加熱式真空乾燥缶に100kgのAIBN(水分12~13%)を入れ、内圧50mmHg程度に減圧の上、外側ジャケットに45℃の温水を通し、回転羽根の回転(71rpm)により攪拌しながら乾燥作業を実施していた。概ね乾燥が終了したので、外側ジャケットに通す温水を加熱するための蒸気のバルブを閉めた。その後、約10分を経過して、爆発が起こった。 |
原因 |
攪拌機のシャフトが鏡板グランドパッキングの締め過ぎのため過熱し、そのため周辺のAIBNが分解を起こし、その分解熱のために自己加速分解を起こし、爆発が起こった。 |
対策 |
1.少なくとも、シャフトシールのグランドパッキンの締付けについて統一を図るべきであろう。 2.グランドパッキンでのシールは常に締付け過ぎによる過熱の問題がつきまとう。常時温度検出を行うとか、モーター出力を監視するとかの計測と警報システム等が必要ではないか。 |
知識化 |
グランドパッキンは僅かだが漏れている。大量に漏れて真空に影響するような場合は締付けを強くする(増締め)よりはグランドパッキンを交換するか、スペースがあればグランドパッキンの増入れを行うべきである。 |
背景 |
AIBNの分解危険性についての認識が不足していた。そのため、グランドパッキンが締め付け過ぎで過熱するといったメンテナンスを行った。 |
データベース登録の 動機 |
危険予知の欠如がもたらした事故例 |
シナリオ |
主シナリオ
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無知、知識不足、経験・勉学不足、組織運営不良、運営の硬直化、情報連絡不良、使用、保守・修理、修復・整備、不良現象、機械現象、締め付け過大で発熱、不良現象、化学現象、異常反応、二次災害、損壊、爆発、身体的被害、負傷、8名負傷、組織の損失、経済的損失、反応器大破
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情報源 |
日本火災学会化学火災委員会、化学火災事例集(2)(1974)、p.18-19
田村昌三,若倉正英監修、反応危険 -事故事例と解析-、施策研究センター(1995)、p.164
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負傷者数 |
8 |
物的被害 |
乾燥器大破 |
マルチメディアファイル |
図3.化学式
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分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
新井 充 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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