事例名称 |
ジョイントシート製造装置において着火源近くにトルエン容器を置きトルエン使用中の火災 |
代表図 |
|
事例発生日付 |
1989年04月14日 |
事例発生地 |
山梨県 西八代郡 |
事例発生場所 |
自動車部品工場 |
事例概要 |
1989年4月14日 自動車の部品に使用するジョイントシートの作成工場でジョイント成板作業中に成板機ロールの下方より出火し、近くに置いてあるトルエン貯蔵容器に引火し、成板機1基焼損した。原因は特定出来なかったが、トルエンの貯蔵容器が火花の発生する可能性のある成板機の近くに設置されていることは、引火性危険物を取り扱う基本知識の欠如を示していると考えられる。 |
事象 |
自動車の部品に使われるジョイントシートの成板作業中に成板機ロールの下方より出火、近くに置いてあるトルエン貯蔵容器に引火し、成板機1基焼損した。図2参照 |
プロセス |
使用 |
単位工程フロー |
図3.単位工程フロー
|
物質 |
トルエン(toluene)、図4 |
事故の種類 |
火災 |
経過 |
1989年4月14日08:00 ジョイントシート成板作業を開始した。作業員が1時間交代でジョイントシート成板機を操作し、通常の作業工程を行っていた。 16:52頃 成板機ロールの下方より出火、近くに置いてあるトルエン貯蔵容器に引火し、成板機1基が焼損した。 |
原因 |
ジョイントシート成板に使用しているトルエンの蒸気が成板機床面にたまり、可燃性混合気を形成した。着火原因は特定されていないが、以下のように推定されている。 (1) 圧力切替スイッチのスパーク (2) 成板機ロール左側クズ取出口のブリキ製の樋がロールに接触し、火花が発生 (3) 作業員の帯電 ただし、トルエンの貯蔵容器が火花の発生する可能性のある成板機の近くに設置されていることは問題がある。 |
対処 |
付近にいた作業員10数名で、消火器による初期消火を行った。 |
対策 |
1.トルエンの貯蔵容器を撤去し、配管にて送油し、ノズルを設置して使用するとともに、許可施設としての基準に適合するよう工場棟の整備をはかる。 2.出火建物付近に屋外消火栓が設置されていたが、油火災には対応できなかった。危険物取扱い工場においては、泡消火剤、発泡ノズル等の自主設置が必要である。 |
知識化 |
火花の発生する可能性のある成板機の近傍に、トルエンの様な引火性危険物の貯蔵容器を設置したために火災となった。危険物の貯蔵容器は安全な所に置くべきである。 |
背景 |
危険物取扱いに関する知識がなく、作業員教育も行っていなかったのではないか。設備も不十分だった。明らかに管理の問題であろう。 |
データベース登録の 動機 |
可燃性危険物(トルエン)の管理不良による火災事故例 |
シナリオ |
主シナリオ
|
価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、組織運営不良、運営の硬直化、教育・訓練不足、無知、知識不足、思い込み、不良行為、規則違反、法律違反、計画・設計、計画不良、設計不良、二次災害、損壊、火災、身体的被害、負傷、組織の損失、経済的損失、直接損害額3400万円
|
|
情報源 |
消防庁、危険物に係る事故事例-平成元年(1990)、p.31、372-373
|
負傷者数 |
1 |
物的被害 |
ジョイントシート成板装置,自動塗装機,コンベア等焼損.トルエン被害. |
被害金額 |
3400万円(危険物に係る事故事例) |
マルチメディアファイル |
図2.出火場所図
|
図4.化学式
|
分野 |
化学物質・プラント
|
データ作成者 |
土橋 律 (東京大学大学院 工学系研究科 化学システム工学専攻)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
|