事例名称 |
塩化ベンジルの放置中の縮合反応による爆発 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1970年06月26日 |
事例発生地 |
福井県 福井市 |
事例発生場所 |
化学工場 |
事例概要 |
1.ドラム缶から滴下タンクに受け入れた塩化ベンジルが不良と判明したが、指示を無視して、そのまま放置し、爆発した。 2.作業者間の情報伝達で動機付け理由付けが不足しており、移送がなされなかったもの。 |
事象 |
染色助剤を製造するため、ドラム缶から約350Lの塩化ベンジルを滴下供給用タンクに移し、滴下前にその品質検査をしたところ不良であった。このため、ドラム缶に戻して回収する指示がなされたが、そのまま放置して約3時間後に、突然タンクが激しく爆発した。 |
プロセス |
製造 |
単位工程 |
仕込 |
化学反応式 |
図2.化学反応式
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物質 |
塩化ベンジル(benzyl chloride)、図3 |
事故の種類 |
爆発 |
経過 |
1970年6月26日11:00頃 真空ポンプを使用してドラム缶から約350Lの塩化ベンジルをサービスタンクに移した。 (時間不明) 滴下前に塩化ベンジルの品質検査をしたところ不良であった。 ドラム缶に戻して回収するよう指示があったが、そのまま放置した。 14:15 突然タンクが激しく爆発した。 |
原因 |
放置中に縮合反応を起こし反応暴走に至った。 |
対策 |
作業指示の厳守 |
知識化 |
作業指示には、作業内容だけでなく、その作業の必要理由や効果などを併せ伝える。 |
背景 |
1.なぜ元のドラム缶に戻すように指示がなされたかの理由付けが作業者に伝わらなかった。 2.仮にドラム缶に戻したとしても、滴下タンクに放置したまま爆発した理由が分からないので、その後の保管中や廃棄時に爆発を起こしたかもしれない。 |
データベース登録の 動機 |
理由を明確にしない指示が無視された例 |
シナリオ |
主シナリオ
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組織運営不良、管理不良、管理の緩み、不注意、理解不足、リスク認識不足、非定常行為、変更、作業内容変更、不良行為、規則違反、指示無視、不良現象、化学現象、異常反応、二次災害、損壊、爆発、組織の損失、経済的損失
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情報源 |
田村昌三,若倉正英監修、反応危険 -事故事例と解析-、施策研究センター(1995)、p.147
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マルチメディアファイル |
図3.化学式
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分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
板垣 晴彦 (独立行政法人産業安全研究所 化学安全研究グループ)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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