事例名称 |
製油所の鋳鉄製バルブ破損による重油の漏洩 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1991年03月15日 |
事例発生地 |
神奈川県 横浜市 |
事例発生場所 |
製油所 |
事例概要 |
1.精製装置より留出する重油の受けタンクを変更して留出を開始したとき、架空配管上のバルブ付近より重油が漏洩しているのを協力会社の社員が発見した。ただちに付近のバルブを閉めて漏洩を止めると同時に、漏洩重油を回収した。 2.鋳鉄バルブのフランジが破壊されていた。事故原因は、もともと脆い鋳鉄バルブを使用した上にいくつかの悪条件が重なり、バルブフランジが破損した。 基本要因としては、設備管理に問題があったと推測する。 |
事象 |
製油所で架空配管から重油の漏洩があった。精製装置より留出する重油の受けタンクを変更して留出を開始したとき、架空配管のバルブ付近で重油が漏洩しているのを協力会社の社員が発見して職長に通報した。ただちに付近のバルブを閉めて漏洩を止めると同時に漏洩した重油をバキュームカーで回収した。 |
プロセス |
製造 |
単位工程 |
溜出・取出し |
単位工程フロー |
図2.単位工程フロー
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物質 |
重油(fuel oil) |
事故の種類 |
漏洩 |
経過 |
1991年3月15日08:45 精製装置より留出した重油の受けタンクを変更して、留出を開始した。 10:10頃 協力会社の社員が留出配管の架空配管にあるバルブ付近で重油が漏洩しているのを発見して職長に通報した。 10:15頃 職長はただちに現場に行って確認し、現場の非常電話で関係者に通報した。 現場では直近のバルブを閉じ、ブロック化して漏洩を止め、漏洩した重油をバキュームカーで回収した。 14:40 配管内の重油を回収してバルブの交換を行い、処理を終了した。 |
原因 |
バルブのフランジ破損が漏れの原因である。その原因は次のように推定される。 1.鋳鉄製のバルブが使われていた。鋳鉄は脆いので無理な力が作用すると割れる。本来なら危険物の配管に使うべきではない。 2.バルブフランジがFF(フラットフェイス(全面座))で配管のフランジがRF(レイズドフェイス(平面座))と信じられないフランジを採用している。RFは比較的圧力の高いところに使われ、狭い当たり面に締め付け力が集中する。FFでは幅広い当たり面全体に締め付け力が分散する。鋳鉄のフランジの一部に強い力が集中することになる。 3.架空配管のサポート区間が規定より広かったことにさらに枝管の荷重が掛かり、全体としてバルブフランジの下側で許容応力以上の応力が作用した(私見だが、サポートのスパンだけならフランジの破損はなかっただろう)。 |
対処 |
1.漏洩部の直近のバルブを閉止して、漏洩を止めた。 2.漏洩油をバキュームカーで回収した。 3.海上にはオイルフェンスを張り、海上への流出に備えた。 |
対策 |
1.鋳鉄バルブを鋳鋼バルブに変更する。 2.配管サポートを増設する。 3.設備の改善・補修等を行うときは設計部門が必ずチェックして、安全性を確認して施工する。 4.工事担当部門と設備管理部門は設備の改善・改修を行うときに図面等をチェックして安全性を確認する。 5.工事担当部門は工事マニュアルの整備と教育を行う。 |
知識化 |
配管などの改善や補修時には安全性の確認がおろそかになりがちであるが、これが事故につながることがある。 |
背景 |
何時までも鋳鉄製のバルブを使い続けた設備管理が問題だろう。また相対するフランジがRF,FFという異なった型式のフランジを使っている。材料の指定または工事時のミスであろう。配管のサポート間隔を設計基準より大きくとったのは規律違反か見落としのいずれかと考えられる。つまり管理のルーズさが問題ではないだろうか。 |
後日談 |
事故後、事業所内の類似配管の総点検を行った。 |
よもやま話 |
☆ 古くは鋳鉄製バルブが使われていたが、材質上脆いことは避けられない。フランジの締め付け過ぎなどで壊れる可能性もあり、危険物装置などでは使うべきではない。 |
データベース登録の 動機 |
鋳鉄製のバルブの使用とフランジの誤用による漏洩事故例 |
シナリオ |
主シナリオ
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無知、知識不足、経験・勉強不足、組織運営不良、運営の硬直化、教育・訓練不足、計画・設計、計画不良、設計不良、製作、ハード製作、配管工事不良、破損、破壊・損傷、鋳鉄製バルブ破損、二次災害、損壊、漏洩
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情報源 |
消防庁、危険物に係る事故事例‐平成3年(1992)、p.802-803
高圧ガス保安協会、石油精製及び石油化学装置事故事例集(1995)、p.76-79
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
0 |
物的被害 |
8Bバルブ(鋳鉄製)1個破損 |
被害金額 |
120万円(消防庁による) |
分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
小川 輝繁 (横浜国立大学大学院 工学研究院 機能の創生部門)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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