事例名称 |
常圧蒸留装置の温度計取り付け用枝管の腐食による漏洩、火災 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1996年07月27日 |
事例発生地 |
岡山県 倉敷市 |
事例発生場所 |
製油所 |
事例概要 |
常圧蒸留装置の原油加熱炉出口付近で漏洩、火災が発生した。漏洩箇所の温度は360℃で、原油性状を考えると、高温腐食環境にある。そのため、高級材料を使用すべきところ、増強時に温度計取り付け用枝管の材料に誤って低品位材料が使用された。その結果、腐食が想定以上に進行し、20年後に枝管が開孔して高温原油が漏洩し、火災となった。 |
事象 |
常圧蒸留装置の平常運転中に火災が起こった。運転員が現場巡視中に、原油加熱炉出口配管上部と下側のスチーム配管の上部付近で火災が発生しているのを発見した。火災発生部の付近に取付けられている温度計取り付け用枝管が開孔して、高温の原油が漏洩して着火し、火災となった。 |
プロセス |
製造 |
単位工程 |
蒸留・蒸発 |
物質 |
原油(crude oil) |
事故の種類 |
漏洩、火災 |
経過 |
1974年9月 枝管設置 1994年7月 火災発生 |
原因 |
腐食により開孔した。加熱炉出口温度は360℃で、原油の性状から考えると、高温腐食環境にある。そのため、材料は5Cr-1/2Mo鋼を使用すべきところ、昭和49年の増強時に異材が混入し、誤って1/2Mo鋼が使用された。その結果、腐食が想定以上に進行し、開孔して高温原油が漏洩、発火したものと推定される。 |
対処 |
自衛消防による消火 |
対策 |
プラントの建設、改修、保全における材料管理および点検の強化 |
知識化 |
プラントの建設、改修、保全において材料の間違いをすると大事故につながる。末端部の枝管等も含めて選定、材料表への記入、資材管理等を慎重に行う必要がある。 |
背景 |
プラント建設における資材管理不良が原因であろう。通常、配管工事に先立って、工事用の配管リストを作成し、使用条件に応じた材質を含めた全ての条件を記入する。そのリストの製作ミスとか、配管資材管理で異なった材料のものを紛れやすく管理していたとか、いくつかの要因は考えられるが、何が起こったかは不明である。 |
後日談 |
事故後事業所全体を総点検したところ、他の6カ所で間違った材料が使われていることが判明した。 |
よもやま話 |
☆ 当該製油所では事故が多い。建設時の異材の混入だけではなく、安全の取組について再検討する必要があるのではないか。 |
データベース登録の 動機 |
枝管の材料誤使用による可燃物漏洩火災事故例 |
シナリオ |
主シナリオ
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組織運営不良、管理不良、管理の緩み、価値観不良、安全意識不良、管理システムの構築不良、不注意、理解不足、リスク認識不足、計画・設計、計画不良、資材管理計画不良、製作、ハード製作、配管工事、破損、減肉、腐食、二次災害、損壊、漏洩・火災
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情報源 |
産業と保安、Vol.12(No.30)、p.11(1996)
高圧ガス保安協会、高圧ガス保安総覧‐平成9年版‐(1997)、p.198-199
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
0 |
分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
小川 輝繁 (横浜国立大学大学院 工学研究院 機能の創生部門)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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