事例名称 |
LSI工場分析室で廃液処理容器が混触により破裂 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1995年01月27日 |
事例発生地 |
山形県 |
事例発生場所 |
半導体工場 |
事例概要 |
LSI工場の分析室で、有る作業を終了し残った有機溶剤のMEKを廃棄した。その時隣接した廃棄用ロートで、容器形状も似ている廃酸容器に落しこんだ。そのためMEKが反応し爆発した。一見ヒューマンエラーだが、安全工学的見地からの検討などが不足していた。 |
事象 |
LSI工場の分析室で、有機溶剤であるメチルエチルケトン(MEK)廃液を誤って酸化剤である廃硝酸容器に投入し、発災した。 |
プロセス |
廃棄 |
物質 |
メチルエチルケトン(methyl ethyl ketone)、図2 |
硝酸(nitric acid)、図3 |
事故の種類 |
破裂 |
経過 |
1. LSI工場の分析室で完成品検査のため、樹脂のモールディング除去などの作業を行っていた。 2. 作業の区切りがついた時、関連会社の作業員が次の作業の準備の一部として、前の作業に用いたMEKの残液を、廃液処理容器に捨てた。 3. 空気とオレンジ色の煙が吹き出し,その後酸類廃棄容器が破裂し,容器内の硝酸などが室内に飛散し、4名が薬傷を負った。 |
原因 |
MEKを捨てるときに、誤って廃酸の容器に捨てた。そのため、混蝕反応が起こった。直接的には、作業員のヒューマンエラーである。MEKと硝酸が接触すればMEKは酸化反応やニトロ化反応等をすることは既知であった。 |
対処 |
不明 |
対策 |
1.酸類廃液容器に通ずる漏斗が設けられているドラフトチャンバーを密閉式に改善する。 2.酸類と有機溶剤の容器の形状を変えて、一見して判別できるようにする。 3.問題になった作業は同一人が一貫して行う様にする。 4.安全衛生教育の徹底をする。 |
知識化 |
混合すると危険な廃棄物などは、容器形状、容器置場、作業方法などを区別すると同時に、何故危険か等の理由が分かる教育が必要である。 |
背景 |
1.同一室内の隣接した場所にそれぞれの容器が判別し難い形状をしていた。安全工学的配慮の欠如が伺われる。 2.安易に第三者の関連会社従業員に廃棄をさせた管理上の問題が考えられる。 3.混触危険に関する認識が低かったと思われる。安全教育が十分でなかったと思われる。 |
データベース登録の 動機 |
安全工学的配慮に欠ける配置と形状が事故を誘発した事例 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、組織文化不良、安全工学的配慮なし、組織運営不良、管理不良、作業管理不良、不注意、注意・用心不足、作業者不注意、計画・設計、計画不良、設計不良、定常操作、誤操作、確認不足の操作、不良現象、化学現象、異常反応、二次災害、損壊、破裂・漏洩、身体的被害、負傷、6名薬傷など
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情報源 |
中央労働災害防止協会、災害発生状況の詳細
中央労働災害防止協会安全衛生情報センター、労働災害事例 No.1068 、中央労働災害防止協会ホームページ
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
6 |
マルチメディアファイル |
図2.化学式
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図3.化学式
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分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
小林 光夫 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻、オフィスK)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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