事例名称 |
発電用ボイラーの運転再開時の爆発 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1977年04月08日 |
事例発生地 |
神奈川県 横浜市 |
事例発生場所 |
製油所 |
事例概要 |
発電用ボイラーのスタートで、燃料ガス配管を燃料ガスに置換する作業中に、作業者の勝手な思い込みで燃焼の準備が出来る前に燃料ガスをボイラー火炉内に流して爆発した。作業者の可燃物取り扱いに関する知識、危険性認識の欠如による事故であった。 またこのような知識の欠如や指示の誤解を生ずるような教育体制も問題であろう。 |
事象 |
発電用ボイラーのスタートで、燃料ガス配管の窒素パージに引き続き、燃料ガスに置き換えていた。ある運転員が作業方法が変更されたと勝手に判断し、炉内に燃料ガスを入れ、突然爆発が起こった。 |
プロセス |
使用 |
単位工程フロー |
図2.単位工程フロー
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物質 |
燃料ガス(fuel gas) |
事故の種類 |
爆発 |
経過 |
1977年4月8日09:50 休止中のボイラーを稼働させるため、燃料ガス配管の窒素パージを開始した。 13:20 燃料ガスを燃料母管に導入し、窒素と置き換えを図った。 16:15 燃料ガスを枝管に導入し、スチームと置き換えた。この時、バーナー元バルブを微開にした。 16:58 爆発が起こった。 17:21 鎮火が確認された。 |
原因 |
1.一人の運転員の思い込みで、バーナへの弁が微開されていた。そのため炉内に燃料ガスが入り可燃性混合気を形成した。 2.さらにボイラー炉排ガスダンパーが閉止していて、煙突のドラフト効果がなかったため燃料ガスが炉内に滞留した。 |
対処 |
注水消火 |
対策 |
1.安全総点検 2.保安教育徹底 3.運転要項の改善 4.施設設備の改善 |
知識化 |
1.ガス燃焼における危険性認識と安全対応の必要 2.爆発事故は工場施設外にも多大な影響を与える。 |
背景 |
作業者が燃料ガス置き換え時の悪臭防止のため、炉内にも燃料ガスを流すパージ操作に変更されたものと誤判断した。そのような誤判断を起こさせた教育、可燃性ガス取扱いの基本に反した事に気付かない教育などが基本要因であろう。 |
データベース登録の 動機 |
燃焼ガスの危険性認識の欠如のために起きた事例 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、組織運営不良、運営の硬直化、教育・訓練不足、誤判断、誤認知、勘違い、計画・設計、計画不良、スタート計画不良、定常操作、誤操作、勝手な判断、二次災害、損壊、爆発、身体的被害、負傷、3名負傷、組織の損失、経済的損失、直接損害2.1億円
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情報源 |
五十嵐道雄、第27回全国消防技術者会議資料(1979)
高圧ガス保安協会、コンビナート事故事例集(1991)、p.180-181
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
3 |
物的被害 |
発電用大型スチームボイラー1基焼損大破、コンプレッサー室外壁及び発電機室外壁破損(消防研究所会議資料による)。 該当ボイラ大破、隣接ボイラ破損、配管電気計装設備焼損、建物3棟破損(高圧ガス保安協会事例集による)。 |
被害金額 |
約2億2,000万円(高圧ガス保安協会報告書による) |
備考 |
ガス爆発であるため、残留性の残渣は残さないと考えられる。 |
分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
若倉 正英 (神奈川県 産業技術総合研究所)
吉永 淳 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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